江原氏によれば、Nagiの機能性にはANRIの他のメンバーも驚いていたという。投資検討にあたって、石井氏がANRIのオフィスにNagiと海外の吸水ショーツを2種類ほど持って、実際に吸水の機能性を比較してみたところ、性能が良いことは一目瞭然だった。

画像提供:BLAST

「Nagiの生地は日本の安全な生地メーカーのものを使用し、 高い技術をもつ国内の工場で1枚ずつていねいに人の手で縫製してつくっています。実際に比較することで、『Made in JAPAN(メイドインジャパン)』の強さを感じてもらえたと思います」(石井氏)

女性起業家だけでなく、女性投資家も増えるべき

また、今回の発表でユニークなのが同世代の女性投資家が女性起業家に投資している点だ。スタートアップ業界は“男性社会”と言われることが多く、実際のところ母数として男性の数は多く、特に投資家サイドはなおさらだ。そのため、生理の悩みを解決するといった事業アイデアをプレゼンしても必要性を理解されにくく、投資に至らないケースも多々ある。

実際、石井氏は前回の調達ラウンドで投資家をまわった際、「生理についてイチから説明したものの、なかなか理解してもらいづらかった」と語る。一方の江原氏は投資家の立場から、女性の起業家を取り巻く環境の課題について、こう思いを口にする。

「女性起業家の数も増えてきていて、少しずつプレゼンスも上がってきていますが、まだまだ十分ではありません。また女性の起業家が増えても、彼女たちの解決したいペインに共感できる女性の投資家がいないことも問題だと思っているので、私は女性の投資家も増えていくべきだと思っています」(江原氏)

そんな彼女が所属するANRIはこれまでに130社ほどのスタートアップに投資しているものの、女性起業家への投資件数はわずか7件ほどしかない。

「年々ファンドサイズも大きくなって、スタートアップ業界に与える影響力も高まってきている中で、ファンドとしてどうあるべきなのか。そこはANRI全体として課題意識を持っていて、今は女性起業家を増やすために具体的な数字の目標を決め、そこに向かって全員で走っていけるように準備を進めているところです」(江原氏)

市場が盛り上がる前に、どれだけ純粋想起を獲れるか

また、ANRI代表パートナーの佐俣アンリ氏は著書『僕は君の「熱」に投資しよう――ベンチャーキャピタリストが挑発する7日間の特別講義』の中で、ラクスル代表取締役社長CEO松本恭攝氏を例に、同世代の起業家と投資家がペアを組むことの重要性を説いている。