2社のスタートアップが手を組んだ理由について、mobby ride代表取締役社長の日向諒氏とneuet代表取締役社長の家本賢太郎氏に話を聞いた。

Charichariはコロナ禍で過去最高の月間利用数を記録

電動キックボードのシェアサービスのmobbyは、フィンテックスタートアップAnyPayの新規事業としてスタート。2019年6月、事業を切り出すかたちでmobby rideを設立した。分社化前の2018年12月、福岡市が主催する実証実験フルサポート事業に採択され、実証実験を進めてきた。

BtoB事業も展開している。8月にはトヨタ自動車九州がmobbyの電動キックボードを110台導入。福岡県にある宮田工場で工場内の移動に活用している。

Charichariは2018年2月より福岡市を中心に展開するシェアサイクルで、同年6月から福岡市との共同事業としてサービスを提供する。もともとはメルカリ子会社のソウゾウが「メルチャリ」の名称でサービスを提供していたが、2019年6月にneuetが事業承継。2020年4月にサービス名をCharichariに変更した。

Charichariを使うには専用のアプリをダウンロードし、街中のポートに設置された自転車を解錠。利用後はポートに返却する。利用料金は1分4円で、福岡市には約300カ所のポートと約1500台の自転車が展開されている。

Charichariはコロナ禍で利用が伸び、8月の月間利用数は1月と比較して約2倍以上の25万回以上にまで達した。福岡市を中心にサービスを展開してきたが、2020年7月より愛知県の名古屋市、9月より東京都の浅草エリアで提供開始し、エリアを拡大している最中だ。

電動キックボードをシェアサイクルのポートに配置

mobby rideにはneuetと事業提携することで、Charichariのポートにmobbyの電動キックボードを設置していく狙いがある。正確な時期や台数は未定だが、一部のポートには自転車と電動キックボードの両方が配置されていく。

mobby rideの日向氏は「今回(の実証実験は)は限定したユーザーに使用していただくことを想定しています。我々が募集をし、権限を付与した人から提供を開始する予定です」と説明する。

mobby rideはAnyPayから派生したため、ソフトウェアに強いスタッフを多く抱えている。日向氏は、「利用データなどを分析することで、Charichariの利便性をさらに向上できるのではないか」と言う。

「例えばポートを開拓する際に、これまでの利用データからどの程度の利用を見込めるかをシミュレートして、適切な数や場所などを事前に割り出せるようにしていく、といったこともできるようになっていくと思います。 また、単純にユーザーを増やし、利用回数を上げていくためのマーケティング領域においても、利用実績などをもとに多くの施策を実施できる体制を構築できるようになるかと考えております」(日向氏)