auブランドで「みんなの5G」化する一方で、料金重視のユーザーはサブブランドでつなぎ止める戦略だ
auブランドで「みんなの5G」化する一方で、料金重視のユーザーはサブブランドでつなぎ止める戦略だ

UQ mobileはWiMAXサービス提供するKDDI子会社が開始したMVNOだ。2020年10月にKDDI本体が吸収合併し、UQ mobileはauのサブブランドとして「シンプルかつお手頃価格」を求めるユーザーに対応する。KDDIグループのBIGLOBEやJ:COMが運営するMVNOは、特に小容量でより安価な料金プランを充実させていくという。

そしてauは大容量のデータ通信と多様なサービスを求めるユーザーに向けたプランを拡充していく。それがNetflixやテレビ系の動画配信とのセットプランだ。

つまり、低価格なスマホや小容量の料金プランを求めるユーザーに対しては、サブブランドへの移行を促す狙いだ。その意味で、「5G化」と「サブブランド強化」はコインの裏表の関係にあると言える。

5G小容量プランは「4Gと同額」に

ただし、auブランドは全国に店舗を展開し、充実したサポートを提供している。サブブランドのサポート体制はその料金構造上、auと同水準とはならない。あまりデータ通信を使わないが、au本体で契約をし続けたいというユーザーも一定数は残ることになる。

そこで25日には、小容量プランでの「値下げ」もあわせて発表された。月7GBまでの段階制プラン「5Gピタットプラン」が月当たり1000円値下げされ、4G LTEの同名プランと同額の設定になった。

ただし、この施策には料金重視のauユーザーの離脱を招くおそれもある。KDDIは、サブブランドのUQ mobile、BIGLOBEモバイル、J:COM Mobileを受け皿として活用する方針を示している。

ここで、5Gの不十分なエリア展開が足かせとなってくる。5Gでミドルレンジのスマホを投入する場合、4G LTEスマホよりも割高な価格設定となる。限られたスポットだけでの高速通信は、差別化要因として機能しづらいだろう。

5Gの小容量プランでは、4G LTEとの差額を無くして負担感を軽減する

もっとも、5Gの付加価値分として「4G LTEプラス1000円」の値上げをしていたものを、小容量プランに限って元の値段に戻したと捉えることもできる。データ通信をあまり使わない人にとって、現在の5Gサービスは魅力的ではないため、割高感を抑えるために致し方ない措置だったと言えるだろう。

大容量プランでは値下げは無いが、キャンペーンにより期間限定の割引が付けられている。

公約は「携帯値下げ」菅総理の誕生が与える波紋

携帯電話市場に対しては、さらなる逆風が吹きつつある。9月に菅義偉内閣が発足した。新首相となった菅氏は総務大臣時代から「携帯電話料金の値下げ」に対して強いこだわりを持っている。