ただし、現在の商用化5Gサービスで、IoTや自動運転で活用できる低遅延な5Gは行えない。その実現のためには、5G単独で動作する「SA(Stand Alone)」という仕様に切り替えていく必要があり、2021年以降に可能となると見込まれる。
現在は4G LTEネットワークとの連携が必須の「NSA(Non-Stand Alone)」と呼ばれる仕様に基づき、5Gの特長の中でも「高速・大容量」だけを実現している。
携帯キャリアとしては、まず「スマホでの5G」の普及を進めてモバイルネットワークを広げ、IoT向け通信の基盤を作る必要がある。
スマホで使うユーザーを増やし、全国の通信網を作らない限りは、IoT向けの低価格な通信サービスも展開が難しい。時間をかければすべてのユーザーが5Gに移行することになるが、移行が早く進めば4G LTE向け周波数帯を5Gエリアへ転換し、ネットワーク拡充を早めることができる。
auの「みんな5G」宣言は、5Gへの移行を促すための積極策に出たものと言える。
「エンタメ」が5G当初のキラーコンテンツに?
5Gスマホの最初のキラーコンテンツとなるは、「エンタメ」だろう。たとえば動画配信サービスでは4K・HDRのような高画質なコンテンツを5Gでどこでもストリーミング再生できるようになる。また、ARやVR、クラウドゲームのような、5Gスマホなら手軽に扱えるようになるだろう。
5Gでのエンタメコンテンツ重視の傾向は、世界の携帯キャリアで共通して見られるが、auは特にエンタメコンテンツの拡充に力を入れている。
5Gの料金プランでは映像配信サービスをセットにしたパッケージ料金を複数取り揃えている。auでは従来からNetflixなどの動画サービスをセットにしたプランを展開していたが、25日の発表会では新たに民放テレビ系の動画配信サービス3種をセットにした料金プランを発表。テレビ視聴者層への訴求もアピールした。
また、渋谷区と取り組む「バーチャル渋谷」や、出資先のSHOWROOMが運営するショート動画サービス「Smash.」など、エンタメコンテンツの紹介にスマホや料金プラン以上の時間を割いた。
高橋社長は「5Gではサービスがネットワークを選ぶ。auは魅力的なサービスとの連携で、選んでもらえるネットワークになる」とコンテンツ重視の姿勢を語った。
モバイル通信の進化でもっとも重要なのは「高速・大容量化」だ。通信能力が向上すれば、多くの機器の同時通信(トラフィック)を捌けるようになる。