菅氏が安倍内閣の官房長官を務めていた2018年には、「日本の携帯電話料金は4割下げられる余地がある」と発言。この発言がきっかけとなり、携帯3社は料金を引き下げた新プランを発表した。
一方で、総務省では携帯電話市場の競争活性化のためとして、「分離プラン」の導入を図った。2019年10月の“過度なスマホ値引き禁止”のガイドラインがそれだ。正確には携帯電話契約を前提とした端末値引きを制限する内容だ。この施策を5Gの普及という観点から見るとマイナス要因としかならないというのは前半で述べた通りだ。
料金値下げと端末値引き制限(スマホ代金負担の上昇)が同時に実施されたため、消費者にとって携帯電話の値引きによる恩恵は薄くなった。また、2019年10月の消費税引き上げも、負担を増す要因となった。
菅氏は首相となった際も、公約の1つとして「携帯電話料金のさらなる引き下げ」を主張している。
携帯キャリアはますます難しい状況に置かれていると言えよう。携帯キャリアは無線免許を元にサービスを提供しているが、全国に広がる通信ネットワークへの構築と運営は大きな資金を必要とする。また、収益を上げて投資家に還元される営利企業の顔も持つ。
菅氏がどのようにして「さらなる引き下げ」を実現するのかは現時点では不透明だが、5Gの普及を進めたい携帯キャリアにとっては喜ばしいことではないだろう。auの小容量プラン値下げやサブブランド戦略もこれに先手を打って対応したものと言えるが、今後の出方を慎重に伺っている様子も見受けられる。
髙橋社長は菅氏の発言について問われ、「国際的に比較しても遜色のない料金を求められている。昨今、求められている値下げを1一日も早く実現できるよう対応していきたい」と言及。
続けて「我々としても持続的に成長する必要がある。通信以外の分野で収益もしっかりと稼ぎつつ、携帯電話事業者としての使命を果たしていきたい」とコメントした。