あのとき、西川さんの方が僕よりは俯瞰して見えてたんです。僕はどんなに忙しいのかも分かっていなかったし、目の前の事業を前進させることに夢中になっていたんです。そうすると意思決定を全部自分でしなきゃいけないのは当然だし、忙しいのも当然だっていう「檻の中にいる動物」みたいな状態でした。そのとき西川さんはすこし俯瞰して見てたんで、「自分たちが意思決定しているからじゃない?」みたいな気付きがあった。思考プロセスを自分たちで持ちすぎとかプレイングマネジャーになりすぎみたいな問題も考えていたんじゃないですかね。
西川:当時、赤坂くんはPairsと「Couples」(恋人間の情報シェアに特化したSNS。2020年8月に終了)という2つのサービス両方を担当していたんです。それぞれ事業としてはもちろん会社にとって大事なんだですけど、じゃあ「3年後に会社をどうするのか」みたいなところまで目が行ってない。というか、この2つを早く伸ばすこと以外にも、経営者というか社長としての仕事ってもっとあるんじゃないかな。他にやらなきゃいないことあるんじゃないかなって思っていたんです。
ですが、本当に「そのCPAどうする?」みたいな細かい広告代理店との打ち合わせにも赤坂くんが全部出ていて、私は私で海外出張にめちゃくちゃ行くみたいな感じでやってしまっていました。それで、これで本当に2年後とか3年後には会社は大丈夫なのかなって思い始めたんです。小さい問題はいくつもあると思うけど、どちらかというと「将来」の方が心配でした。このままで、私たちは経営者としてこれでいいんだろうかみたいな感じでしたね。
そこは、メンター的な人が誰もいないから自分たちが正しいと思うやり方でしかできなかったっていうのが大きいかもしれませんね。
赤坂:僕らは今スタートアップに投資もしているじゃないですか。そういうことをしていて、いろんな会社の経営を見てるから俯瞰してみることができて、それを今また新たに自分たちでやろうとする会社に当てはめられるというのはものすごい財産ですよね。
経営者ボトルネックから生まれた採用ミス
赤坂:あの頃は自分たちが意思決定をすべてしていて、とにかく自分たちがボールを持ちすぎていました。会社の問題がスピーディーに解決していないのに会社は拡大している。事業は伸びている。だから焦って採用もしようとする。ただそれが「先行き不透明な未来」に対するソリューションはスキルマッチなんじゃないかという仮説を信じ、カルチャーマッチよりもスキルベースでの採用をして、それでミスしてしまうという問題も産んでましたね。