Natee代表取締役の小島領剣氏の話では「事務所業から脱却し、プロダクトで勝負していけるような事業形態へと進化させていく」ことを見据え、組織体制の強化を進めていくという。
加速するインフルエンサーの事務所卒業問題
近年YouTuberのマネジメントを手掛ける事業者(事務所)における「タレントの卒業問題」が話題になることが増えた。
多くの事業者はインフルエンサーとマネジメント契約を締結し、タイアップ案件を獲得してくるほか、撮影スタジオの手配や雑務を含めた一連のサポートをする代わりに収益の一部を手数料として得る形でビジネスを形成している。
そこでネックになるのが事務所の存在意義だ。YouTubeを含めたSNSが主戦場となる場合、一定の影響力を持つようになったインフルエンサーであれば、タイアップ案件の獲得なども含めて「やろうと思えば自分でも出来てしまう」状態に行き着く。
収益が増えるほど事務所に支払う金額自体も増える構造にあるため、結果として著名なインフルエンサーが独立をしたり、より条件のいい別の事務所に移籍する道を選んだりするケースも出始めている。
Natee自体も創業から約2年が経過し事業が成長するとともに、まだ数自体はそこまで多くないものの、この問題に直面するようになってきた。
そうした中で「後発のMCNとして先行する企業と同じようなやり方で事業の成長を目指すのではなく、もっと自分たちの強みやNateeらしさを活かせる方向にシフトする必要があると考えるようになりました」と小島氏は心境の変化について説明する。
「さらなる若い世代の台頭や、芸能人などの参戦などによって今後もインフルエンサーのパイ全体が広がり、ビジネスとしても確実に大きくなっていくはずです。一方で事務所はよりエモーショナルな側面が増し、インフルエンサー自身の“好き”とか”繋がり”がより重要視されるようになると予測していて、それともに小さな事務所に分散するような構図になると考えています。たとえば中国には(MCN事業を展開する)事務所が約2万社もあるように、海外の様子を見ていて日本でも同じような形になるのではないかなと」(小島氏)
プロダクトでインフルエンサーマーケティングの課題解決へ
結果的にたどり着いたのが「プロダクト」の開発・強化を通じて、インフルエンサーマーケティングにおける課題を解決していくこと。それを通じて、ブランドと熱量や才能を持つ個人を適切な形で繋ぎ、双方をエンパワーメントしていくことだ。
「効果が不明瞭でわかりづらいというのがインフルエンサーマーケティングの大きな課題となっています。SNSを活用した広告ではフォロワー数によって単価が決まることも多いですが、本来はフォロワーの数よりも、どれくらいの人を実際に購買へと動かしたかの方がよっぽど重要です。Nateeではデータやテックを活用し、今までブラックボックスになっていたインフルエンサーマーケティングの効果を可視化し、最適化できるようなサービスを作っていきます」(小島氏)