楽天モバイルへの乗り換え施策?楽天のNBA配信「月額2970円→4500円」の巧妙な値上げ戦略Photo:SANKEI

楽天グループ(以下、楽天)が運営する、北米のプロバスケットボールリーグ「NBA」の試合動画配信サービス「NBA Rakuten」が何やら騒がしい。そのワケは、10月20日に実施された料金プランの大幅改定にある。従来価格の「1.5倍以上」という値上げ率は顧客に大きなインパクトを与え、ネットを中心に賛否両論が巻き起こっている。果たして今回の値上げは“成功”といえるのだろうか。本稿では「NBA Rakuten」が値上げに踏み切った背景やその妥当性を、独自の調査から検証する。(プライシングスタジオ代表取締役 高橋嘉尋)

月額料金「1.5倍」の大胆値上げ
3種類あった料金プランは「1種類のみ」に

 NBA Rakutenとは、現時点でNBAの全試合を視聴できる国内唯一の有料動画配信サービスだ。価格改定前のプランは3種類に分かれていた。シーズンの全試合を視聴できる「LEAGUE PASS」の年額プランと月額プラン、視聴できる試合数が限られる代わりに利用料が安価な「BASIC PASS」(月額プランのみ)である。ヘビー層・ライト層それぞれのニーズに合わせたプラン設計といえよう。

 しかし今回の価格改定で、LEAGUE PASSの年額プランおよびBASIC PASSが廃止に。唯一残されたLEAGUE PASSの月額プランは、その料金が2970円から4500円へと、実に1.5倍にもなる“大幅値上げ”が断行されたのだ(価格は税込、以下同)。
 

楽天モバイルへの乗り換え施策?楽天のNBA配信「月額2970円→4500円」の巧妙な値上げ戦略出典:楽天の発表をもとにプライシングスタジオ作成
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 参考までに、サッカーやプロ野球といった多くのスポーツ中継が楽しめるDAZNの月額料金は3700円、格闘技イベント「RIZIN」やボクシングなどが楽しめるU-NEXTは2189円となっている。同じ動画配信サービスというカテゴリーの中で比較しても、4500円という価格は相対的に高いように思われる。

 こうした観点から見ても、顧客からの反発が事前に想定され得る大幅な価格改定だが、その背景にある戦略や狙いについて考察していく。