ベータ版を公開したのは2018年11月。すでにみずほ銀行や「ひふみ投信」を運営するレオス・キャピタルワークスなど、金融機関を中心に約50社が導入。株価や企業業績の分析に利用するだけでなく、営業職が新規提案のための情報収集に使うケースもあるという。

ダウ・ジョーンズのデータ基盤連携はアジア初

 ダウ・ジョーンズは、「The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)」などを発行する経済・ビジネスに特化した米国のメディア企業。2018年7月にゼノ・ブレインと業務提携契約を結んで記事データの提供を行っていた。今回の提携にともない、提供する記事データを拡張。ダウ・ジョーンズが運営するデータプラットフォーム「ダウ・ジョーンズDNA」が扱う国内外の主要新聞、業界紙、雑誌、通信社など8000以上のメディアの記事をゼノデータ・ラボに提供する。膨大なコンテンツを解析することで、ゼノ・ブレインのニュース解析精度をより高めることを狙う。ちなみに、アジア企業でダウ・ジョーンズDNAと提携するのは、ゼノデータ・ラボがはじめて。

 今回の提携について、ダウ・ジョーンズ パートナーシップ・アンド・アライアンス アジア・パシフィック責任者のクリストファー・エリス氏は、「私たちは130年以上に渡って信頼できる情報を蓄積し、提供してきた。ダウ・ジョーンズのニュースデータとゼノデータ・ラボの持つマーケットをリードする洞察力や分析力を組み合わせて、画期的な情報を日本企業に提供する」とコメントした。

注目を集める「Forecast Tech(予測テック)」

 世界的な影響力を持つダウ・ジョーンズと密な連携を進めるゼノデータ・ラボ。三菱UFJ銀行などメガバンクからの資金調達や時事通信との業務提携も実施するなど、2016年創業のベンチャー企業にもかかわらず、名だたる企業から注目を集めるのはなぜなのか。

 一因として考えられるのが、世界的な「予測業界」の盛り上がりだ。金融に限らず、未来を示唆する企業はあらゆる業界に現れており、関氏はそれらを「Forecast Tech(Forecast Technology)」と呼ぶ。

 例えば、時系列データに基づいて製品需要を予測するAmazonや2014年にGoogle(現Alphabet)の買収で話題になったDeepMind、国内企業では飲食店向けの需要を予測するトレタや、犯罪予測システムを開発する日立製作所などがForecast Techの代表例だと関氏は語る。