監査法人とのやり取りについては、ファイル共有などクラウドを活用して対応。リモートで決算業務を進めることを説明し、認めてもらったそうだ。
こうしてビザスクでは、リモート環境下で決算業務が着々と進められていった。一方で、通常なら大会議室を借りて実施するはずの投資家への決算説明会を、どのように開催するかについては、また別の判断や準備が必要になったと宮城氏は話している。
「まず、会って話すのが適当かどうかを考えた。結果として、インターネットを通じた配信で決算説明会を行うことになった。録画したものを流すという考え方もあったが、最終的にはリアルタイムのライブ配信に決定したことで、資料のバージョン管理など、気を遣う事項も増え、緊張感の高いイベント開催となった」(宮城氏)
配信を担当する業者側もリモート勤務体制となっていたが、Zoomを使ったオンライン会議などで密に連絡を取り合った。説明会は無事にYouTubeで配信を行うことができた。
従業員宅にはディスプレイも配送
「リモートでできないこと」をなくす
決算発表業務と説明会準備のほぼ全ての工程を在宅勤務で行ったビザスクのリモートワーク環境には、どのような工夫があったのだろうか。まず、契約書など顧客とのやり取りで必要になる書類については、物理的なハンコを廃してPDF化を進めた。受領した請求書などの郵送物についても、OCRでデジタル化した。請求書発行には以前から「マネーフォワード クラウド請求書」を利用していたので、「郵送が必要な顧客への対応でも、影響は出なかった」(宮城氏)という。
文書のデジタル化に際しては顧客や業者への説明を行った。だが、相手も出社していないので理解を得られることが多く、「むしろデジタル化してくれた方がいい」と言われることも多々あったそうだ。
業務環境については、従業員が各自、セキュリティを施したノートパソコンを自宅に持ち帰ることになったが、「画面が小さいとの声が多く、ITチームが液晶ディスプレーを配送する対応を行った」と宮城氏。社内在庫で足りない分はAmazonビジネスで注文するなどして、最終的には20~30台のディスプレイを従業員の自宅へ送ったという。
また、自宅のインターネット環境が固定回線でない場合や、もとあった環境が在宅勤務の増加で悪化した人に対しては、モバイルルーターも送付した。マウス、キーボードも含めた関連機器の配送と、会社契約の通信プランの切り替えなどの対応で、フルリモートに切り替えて最初の1週間は、ITチームは非常に多忙だったようだが、現在は安定して通信し、業務を遂行する環境ができたという。