「通販をやっているところも、並行してmagiに出店することはデメリットにならない。 ショップを巻き込んでいく。 共存していくという考え方だ」(麻生氏)
468万円のカードが売れたコレクター向けトレカEC「Clove」
ローンチから1年以上が経過したmagiの後を追うのは、2019年5月に設立されたTrustHubが提供する「Clove」だ。TrustHubは日本生命グループでスタートアップ投資行うニッセイ・キャピタルのアクセラレータープログラム、「50M」の第2期採択企業。2020年1月に開催された同プログラムのデモデイで、同社は最優秀賞を獲得した。
2020年3月にベータ版が公開されたCloveは、遊戯王カードの売買に特化したECだ。Cloveのミッションは「偽物の販売や傷があるカードが美品として販売される例をなくすこと」、そして「市場の適正価格での取引を可能にすること」。TrustHub共同創業者・CEOの大懸剛貴氏はそう説明する。
「ミッションは、テクノロジーの力でコレクターグッズ市場を変えること。コレクターグッズ市場は、真贋鑑定や相場の決定などが属人的に行われている非常にアナログな市場で、テクノロジーによって解決できる課題がたくさんある。(今後は)鑑定のプロセスにAI技術を取り入れたり、流動性の低いコレクターグッズでも適切な相場を提示できたりする仕組みをつくるなど、コレクターグッズ業界の課題をテクノロジーの力で解決していきたい」(大懸氏)
現在、遊戯王カードショップでの勤務経験のある社員複数名が鑑定チームとして真贋鑑定を提供していることをウリにしている点は、magiと似ている。だが、Cloveはコレクター向けに特化したサービスだ。遊戯王に特化しているのは、特に高額なコレクター向けカードが多く、安心してカードを取引できることがもっとも強く求められている領域だからだと大懸氏は言う。
高額なカードを揃えるにあたり、他店舗よりも高額の買取価格を提示することで、コレクターからカードを買い取っている。これまでには1枚468万円のカード、「エビルナイト・ドラゴン ウルトラレア」を販売し、発売後1週間で完売。これは125枚限定で配布されたカードだという。
Cloveでレアカードが適正価格で買えるならば、カードショップの価値は薄れてしまうのではないか。そんな疑問に大懸氏は、「オフラインコミュニティ」としてのショップの価値は残る、そしてショップと協力して業界全体を盛り上げていきたい、と答えた。