マニアにとって喉から手が出るほど欲しいカードは、発行枚数が少なくレアなため、高額であることが多い。ジラフいわく、世界に1枚しか存在しない遊戯王カード、通称「カオスソルジャーステンレス」は、9億9800万円という破格の値段でネットオークションに出品されていたという。

 プレイヤー、コレクターともに高額なカードを買い求めるが、コレクターもただカードを集め続けるだけでなく、所有するカードを売却し、「ウェブサービスのPDCAのように、コレクションをアップデートしていく」(麻生氏)ことから、カードの二次流通は今後もさらに活性化していく見通しだ。

 magiのインストール数は累計で約30万件。最高値では月間の出品数は11万件、取引回数は7.2万件。月間の流通総額は約1億円規模。

 magiが成長していく上では取引回数を増やしていくことが重要だが、そこで要となるのが、売買されているカードが本物だという安心感だ。そのため、magiではカードショップと提携し、経験が豊富な店員がカードの真贋鑑定を行う「あんしん取引」機能の提供を開始した。

「(カードに)保証をつけて売買するような仕組みがあるのは『当たり前』と思えるかもしれないが、業界には一切、存在していなかった。 その『当たり前』を実現することを、スタートアップらしく行っている。 (保証がついていれば)売れる。売れるとなると、『また出品しよう』となる。 買う側にも、『ここだったら安心して買える』と感じてもらえれば、リピートに繋がる」(麻生氏)

 magiの利用者はコレクターよりプレイヤーのほうが圧倒的に多い。そのため、競技人口の拡大に貢献するためにも利用者の拡大も目指す。これまでもYouTubeやTwitterでの情報発信を積極的に行ってきたが、コロナ禍では多くのカードショップが営業の自粛を余儀なくされたため、チャットツール「Discord」を使ったオンライン対戦の場を利用者に提供した。

 また、カードショップもコロナによる外出自粛で大ダメージを受けた業態だ。麻生氏いわく、ショップの売り上げは約8割減。通販サービスを提供しているショップは難を逃れたが、多くのショップのEC化は進んでいない。そこでmagiでは、ショップに向けてはトレカ特化の「フリマ」ではなく「マーケットプレイス」と謳い、出店を促している。通販を始めても集客に悩む小さなショップは少なからず存在するが、magiは多くの利用者をすでに囲っている、と麻生氏は説明する。