ウェブ上のオフィス賃貸物件情報を一箇所に集約

不動産オフィス賃貸市場には大きく3つのプレイヤーがいる。物件を保有している「貸主(オーナー)」、オフィス物件を探している「借主(テナント)」、そして両者を結ぶ「仲介会社」だ。

estieではこのうち仲介会社とテナントの間における“オフィス探し”の課題を「estie」で、そして仲介会社とオーナーの間における“オフィス賃貸業務”にまつわる課題を「estie pro」で解決しようとしている。

estieのサービスイメージ 提供:estie
estieのサービスイメージ

前者のestieはSUUMOやLIFULL HOME’Sのオフィス版だと捉えるとイメージしやすい。これまで各不動産会社のサイトに散らばっていた物件情報を一箇所に集約。estieを見れば多様な物件情報を把握できる仕組みを作った。

テナント側のユーザーは希望の条件を登録しておくだけで、estieのレコメンドAIを通じて好みの物件が複数提案される。気になる物件を内覧候補に追加すると仲介会社のエージェントから詳細のオファーが届き、マッチングすれば個別のチャットで具体的なコミュケーションを進めていく。

 

オフィスは個人向けの住宅と比べて「何が自分にとっていい物件なのか」を判断しにくい側面もあるため、借主にとってはエージェントに相談しながら物件を選びたいというニーズがある。一方で従来のように個別で複数の不動産会社に問い合わせをすると、その後も興味のない営業電話やメッセージが届き、対応に悩まされるといった課題もあった。

そこでestieではマッチングしたエージェントとだけ会話ができる仕様を採用。テナント側のコミュニケーションについても負担を減らしつつ、精度の高い提案を受けられるように工夫した。

今年2月には借主が能動的に物件を検索できる機能も加えた。estie代表取締役CEOの平井瑛氏によると「それ以前はプロダクトの構造上、どうしてもエージェントから提案が届くまでに1日以上かかる場合もあった」そうで、スピードを優先する借主に新しい選択肢を提供したかたちだ。

現在、ITスタートアップを中心に約300社が借主としてユーザー登録をしている。エージェント側のユーザー数は非公開だが、すでに「大手オフィス仲介会社の過半数が利用している」(平井氏)という。

この業界はオーナーとの関係性や交渉力が募集条件にも影響を与えるため、大手の仲介会社が参画していることが1つのポイントになる。estieでは立ち上げ時からそこに力を入れてきたといい、借主は「ウェブには出ない物件」を教えてもらえたり、同じ物件でもより良い条件でオファーをもらえたりといったメリットを享受できる。