「こんなのものでは絶対に儲からない」
現在、BASEの出店数は80万店舗(2019年8月時点)。GMV(流通総額)は2019年第2四半期(4−6月)で104億円にまで拡大した。小さな企業が商品を販売するだけでなく、アーティストやインフルエンサーが個人でブランドを作り、販売するというケースも少なくない。商品を出せば数分で完売するブランド、月商数千万円を売り上げるブランドなども複数生まれている。
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「あくまで将来的にですが、流通総額は数千億円くらいまで行くと思います。販売単価も上がっているし、店舗数も増えています。店舗がビジネスをできるようになるところまでの仕組みは僕たちが作っていますが、その店舗がどれだけ大きくなるかというのは、世の中の環境次第。今はAmazonやZOZOでモノを買っていた人が、BASEの小さなブランドでも買い物をしていますから(環境はいい)」
今でこそこう語る鶴岡氏だが、サービスを開始した当初、周囲の反応は厳しかったと振り返る。
「『こんなもので絶対に儲からない』とも言われました。今でこそユーチューバーやインスタグラマーといった個人が自分のブランドを作るのは当たり前になりつつありますが、6年前だとありえない概念でしたから。多くのVCに断られました。同業他社の人たちにも『そんな人たち(個人)がショップなんか作らないよ』と、散々言われていました」(鶴岡氏)
ただ、それでも愚直にプロダクトを磨いていった。社内のメンバーが増え、投資家が増えてもそこはブレなかった。
「同じ市場のプロダクトと比較しても一番大きく成長していると思います。それは、毎日少しずつ、本当に少しずつですが、1つのものを作り続けてきたことが大きいと思っています。チーム全員が、ひたむきに6年以上BASEという製品に向き合ってきた。これはなかなか珍しいことだと思います。昔はそれなりにきつい時期もありましたが、頑張り続けてきた。それが今のBASEを生み出しました」(鶴岡氏)
初値は公募価格割れ、競合も続々
鶴岡氏は創業から一貫して、プロダクトに対する思いの強い経営者だ。だが上場した以上、プロダクト以外にも向き合わなければいけないものは増える。上場日である10月25日の初値は、公募価格の1300円を割る1210円。終値は1333円だった。有価証券届出書提出時の想定発行価格の1630円からも値を下げていることを踏まえても、投資家から厳しい目線を向けられているのは間違いない。
BASEの2018年12月期の連結売上高は23億5200万円、経常損失は7億9800万円、当期純損失は8億5400万円で、赤字上場だ。だが流通総額、売上高ともに伸びており、2019年12月期についても、プロモーション費用を除けば黒字化している状況だという。今後は2020年12月期までをマーケティングの段階と位置づけ、2021年12月期以降の黒字化を目指すとしている。