――ディープラーニングと音声を組み合わせて、最終的にはプラットフォームを作ろうと考えているんですね。
そうです。だからこそ、プロダクト開発時も、インサイドセールス担当者の思考や感情を見るために、徹底的にヒアリングしました。50社ほどヒアリングして、各社での課題を洗い出した結果、各社共通の課題が“電話営業のブラックボックス化”にあるとわかったんです。
――“電話営業のブラックボックス化”とは、どういうことですか。
インサイドセールスの結果を報告する際、口頭で報告しようとすると必ずバイアスがかかってしまい、情報が正しく伝わらないんです。極端なことを言えば、担当者Aにとっては手ごたえのあった反応が、担当者Bにとっては全く手ごたえのない反応に感じられることもありますからね。
そうすると、担当者自身しか現状を把握できていない状態に陥ります。上司や他のメンバーからすると、その商談が成功した場合も失敗した場合も理由がわからない。
そこで正確な音声解析ができれば、これまで見えなかった電話営業の実情を客観的に可視化できるようになると考えたんです。
――開発する上で、特に注力したことは何ですか。
まず、徹底的に現場を見ました。いくつも企画を考えて、「こんなプロダクトがあったら、どう感じますか」と現場の担当者に尋ねていく。そこから出てきたリアルな声を、分類してエクセルシートにまとめていきました。非常に地道な作業ですが、おかげでブラックボックス化という課題が見つかりました。
また、見つけた課題を徹底的に解決できるようプロダクトに反映させることにも尽力しました。分析項目やプロダクトの全体構造、デザインまで、じっくり練りました。私はエンジニアではありませんから、実際にサービスを開発することはできません。そのため、できるだけ乖離(かいり)なくイメージや内容が伝わるように、再現性の高いモックアップを作成しました。
――昨年は数々のピッチで入賞を果たし、注目が集まりました。今後の狙いは何ですか。
先述の通り、ミーテルはAIプラットフォーム構想の入り口でしかありません。
さまざまなパソコンにマイクロソフトのWindows OSやインテルのマイクロプロセッサが搭載されているように、ミーテルの音声解析エンジンをセールス分野以外でも展開したいと考えています。
あらゆる分野で応用可能だと思いますが、例えばHRテック。面談・面接ツールにミーテルのエンジンを入れることができるでしょう。音声解析エンジンのプラットフォーマーとして、「ミーテル入ってる」という世界を目指していきたいです。