【タイプC:自己向上タイプ(ポジティブ×自分中心)】

 自己向上タイプとは、自分を否定する心理は強くないものの「もっとかわいくなりたい」と考え、整形欲求を抱くタイプのことを指す。

 このようなタイプの子どもへの対応としては、「なぜかわいくなりたいのか」を子どもに尋ね、本質的な目的に近い“取るべき行動”を考えさせる手法が挙げられる。

 例えば、かわいくなる目的が「特定の異性を振り向かせる」ことであれば、恋愛について解説したYouTubeを見たり、相手の趣味を体験して話の種にしたりといった行動が考えられる。SNSにおしゃれな写真を投稿したいなら、加工や編集の技術を学んだり、いわゆる“映えスポット”に行ったりするのも方法の一つだろう。

 自己向上タイプが、今よりもさらにかわいくなりたいと考える背景には、何らかの理由や目的がある。整形はあくまでも、その目的を達成するための選択肢の一部にすぎないことを伝え、その他の行動を子どもと一緒に考えることで、整形以外の選択肢に視野を広げることができるのだ。

【タイプD:憧れタイプ(ポジティブ×他者中心)】

 憧れタイプは、芸能人やインフルエンサーを見て「自分もあんなふうになりたい」「○○ちゃんの雰囲気に近づきたい」といった、他者中心のポジティブな整形願望を抱いている。特定の個人に対して、強い尊敬の念を抱くこのタイプへの効果的なアプローチ方法は、憧れの人物と同じブランドの服やコスメを何かのご褒美として与えることだ。

 人気の有名人が着用している衣服や使用している化粧品は、本人が公表せずともインターネットで「個人名 衣装」などと調べると出てくる場合が多い。また、最近では芸能人が自らプロデュースするファッションブランドやコスメ用品も多数販売されている。こうしたアイテムを子どもが用い、憧れの人物に一歩近づいた喜びや高揚感を味わうことで、「整形したい」気持ちは弱まるだろう。

 なお、憧れタイプの子どもにとっては、整形しても“同じ顔にはならない”という事実に向き合うことも欠かせない行動だ。個人によって骨格や肌質は異なるため、整形しても自分が想像していた見た目になるとは限らない。

 整形した顔が気に食わず何度も手術を重ねる「整形依存症」に陥らないためには、親が“整形手術の限界”に関するYouTuberや医師の発信を集め、子どもに提供する必要があるだろう。

子どもと一緒に“かわいい”の追求を

 整形の有無は別として、「かわいくなりたい」と考えること自体は決して悪いことではない。もし子どもに「整形したい」と打ち明けられたら、子どもと一緒に「かわいくなる方法」を探るような姿勢で、ここで紹介した対応方法を実践してみると良いだろう。

 かわいくなる方法には、外見から内面までさまざまなアプローチの種類が存在する。インターネットが普及し、簡単に情報へのアクセスができるようになった現代だからこそ、「整形でないとかわいくなれない」「整形は絶対ダメ」というどちらの価値観にもとらわれず、親子で協力して解を探してほしい。