「整形したい」子どもの4タイプと親の対応法

 筆者は、同世代の当事者として整形願望を持つ友人や、SNSの知人と接してきた経験から、整形願望の裏には、ある程度の共通した心理があると考えている。ここでは、「整形したい」と発言する子どもの心理を、2軸・4タイプに分類してみた。

 自分の子どもが4つのタイプのどれに該当するかを判断するためには、子どもの様子を観察しつつ、まずは「どうして整形したいのか」を冷静に尋ねると良いだろう。以下では、それぞれのタイプの子どもが整形したいと考える理由と、親がまず取るべき対応方法を紹介する。

 なお、「整形したい」と子どもに言われても、未成年の場合は親の同意書を提出しなければ美容外科での施術は難しい。4つのタイプいずれの場合においても、すぐには同意書にサインせず、子どもの気持ちを受け止め、適切な対応を取ることから始めよう。

【タイプA:自己否定タイプ(ネガティブ×自分中心)】

 自己否定タイプが抱く整形願望の背景には、「自分は何をやってもかわいくならない」「元が悪いから努力しても変わらない」といった、自分を中心としたネガティブな心情が存在する。そのような思いを抱く子どもの整形願望に対しては、子どもに“かわいくなる”体験を提供し、自分自身を肯定させることが必要だ。

 具体例としては、サロンでのフルメイクや技術の高い美容室でのヘアカットなどが挙げられる。世の中で活躍しているモデルやインフルエンサーは、顔が整っているのはもちろんだが、プロの技術や知恵をうまく活用し、自分をより美しく見せている。

 その技術を借りて子どもに「これまでの自分よりも数段かわいくなった」自分自身を見せるのだ。こうすることで、自分を否定する思いと、それに連動した整形欲は確実に弱まるだろう。

【タイプB:劣等感タイプ(ネガティブ×他者中心)】

 劣等感タイプの子どもは、InstagramやTikTokで美しい人物を見て、自分と比較し、「自分は劣っている」「なんで○○ちゃんみたいにかわいくないんだろう」などの思いから整形を検討していることが多い。

 このタイプの子どもへの対応としては、子どもの“他人ばかりを見る”傾向と習慣を弱め、今の生活における幸せを実感させる方法が有効だ。

 そのために親が実行するべき最も良い行動は、子どもに家庭内での役割と仕事を意識的に与え、スマートフォンから離れる時間を生み出すことだろう。料理や配膳の手伝い、洗濯物を畳むなどの家事を子どもに頼むことで、子どもがスマートフォンを使ってSNSを見る時間を強制的に削減する。

 手伝いを頼んで子どもの自由時間を減らすのは、親の暴挙に思えるかもしれないが、子どものメンタルを保つためにも、過度なSNSの使用は止めるべきだと考えられる。実際、2015年に発表された研究において、毎日2時間以上のSNSの使用が極度の心理的負荷や自殺願望の引き金になることが明らかになっているのだ。

 なお、子どもが手伝いによって感じるストレスを減らすためには、報酬としてお小遣いを与えたり、休日に好きな場所へ連れて行ったりすると良い。オフラインで過ごす時間を増やし、今に目を向けさせることで、劣等感から来る整形願望も弱まっていく。