爆弾低気圧、メイストーム、ポーラーロー

 冬には大雪だけでなく吹雪にも気をつける必要があります。

 雪を伴って強風が吹くと「風雪」、さらにそれが暴風となると「暴風雪」と呼ばれるようになります。

 このような状況では、目の前が真っ白になって視界が極めて悪くなる「ホワイトアウト」が起こり、屋外にいると身動きが取れなくなります。さらに、積もった雪が吹き飛ばされてたまる「吹きだまり」ができ、車両の立ち往生の原因になることもあります。

 このような暴風雪をもたらす典型的な現象が、いわゆる冬の「爆弾低気圧」です。気象庁では「急速に発達する低気圧」と表現しますが、学術的には「Bomb」と表記されることもあり、短時間で急激に中心気圧が低下する低気圧のことです。

 多くの爆弾低気圧は温帯低気圧が急発達しているもので、春には「メイストーム」と呼ばれて広範囲で暴風が起こり、冬には北日本を中心に暴風雪をもたらします。

 低気圧が発達すれば、そのぶん低気圧通過後の西高東低の冬型の気圧配置も強まるため、暴風雪の影響が長時間続くこともあります。二〇一三年三月、暴風雪により北海道で九名が亡くなる痛ましい事故がありましたが、これも爆弾低気圧が原因でした。

 爆弾低気圧の発達は、南北の温度差や上空の気圧の谷の影響を受ける通常の温帯低気圧のメカニズムに加えて「雲自体が発達することで潜熱を放出し、上空の大気を温めることで低気圧として成長すること」も重要な要素です。

 また、日本海側での暴風雪は、「ポーラーロー(寒気団内小低気圧)」によってももたらされます。ポーラーローは「冬の台風」といわれることもあり、寒気の中で発生・発達して風が強まります。日本海からの熱や、雲からの潜熱で発達すると考えられています。

 これらの渦による暴風雪で、停電が起こることがあります。

 海から陸に向けて非常に強い風が吹くと、海塩を含む雪が電線に付着して絶縁したり、雪や氷が付着して電線が大きく揺れる「ギャロッピング現象」で電線同士がぶつかってショートしたりするのです。

 冬の暴風雪による停電は復旧作業に時間がかかり、長期化する場合があるため、日頃から食料などの備蓄を心がけることが重要です。また、暴風雪が予想されるときは外に出ず、スマートフォンやノートパソコンの充電を満タンにしておくなどの対策が必要です。