昭和から令和の5大経営者
松下・稲盛・出光・堤・塚本
4. 松下幸之助……経営の神様
和歌山県出身の松下幸之助は松下電器産業を創設し、現在のパナソニックホールディングスを一代で築き上げた経営者です。PHP研究所を設立し、倫理教育や出版業、松下政経塾を設立し人材教育を行なったことでも有名です。
彼は善如龍王つまり龍神を守り神としていたことで知られています。
松下家が龍神を代々信仰していたことと、幼き頃に兄姉が蛇を殺めて早世したという体験から、蛇を畏怖し、龍を信仰の対象にしたと言われています(蛇は龍に通じているからです)。龍神というのは、弘法大師(空海)とも関係がある善如龍王。現在もパナソニックには、白龍大明神を中心に、青・黄・赤・黒の五色の龍神が祀られており、各地の事業所には龍神の分社があります。
その松下幸之助が崇敬した神社が京都にある石清水八幡宮です。平安京の裏鬼門を守護する、日本三大八幡宮の一つで、八幡大神を祀っています。古来より、源氏、足利氏、徳川氏などの武家の崇敬を受けた神様ですが、松下幸之助が、初めて定めた自社の商標は石清水八幡宮の破魔矢からヒントを得た「M矢のマーク」というものでした。
ちなみに、石清水八幡宮には、男山の中腹に石清水社があります。その名前の如く清水が湧き出る井戸があり、龍神を祀る摂社です。また、周囲に林立する竹林は龍の体に見立てられています。さらに、発明王エジソンの白熱電球は石清水八幡宮の八幡男山の竹をフィラメントに使用して成功しました。龍神は「水」と「火」に関係する神様。エジソンも松下幸之助も龍神に導かれたのかもしれません。
また三重にある椿大神社には、松下幸之助を祀る松下幸之助社や松下幸之助が寄進した茶室鈴松庵があります。導きの神である猿田彦大神を祀る全国二千余社の本宮で伊勢国一宮でもあります。
5. 稲盛和夫……僧侶でもあった名経営者
鹿児島県出身の京セラ・第二電電の創業者。一時経営破綻していた日本航空を再建し
たことでも有名です。臨済宗の僧侶でもあり、独自の経営哲学と宗教観を持っていた事でも知られています。彼が崇敬した神社が京都にある車折神社です。
平安時代後期の儒者、清原頼業を祀っていますが、境内には芸能の神様を祀る芸能神社があります。稲盛和夫の自宅の近くに位置していたため、夫婦で参拝をしていた神社です。
車折神社は、石への信仰がある神社で、境内には、立砂を石で模した清めの社があるのですが、ファインセラミックスの専門メーカー(京セラ)を創業した稲盛和夫が石への信仰がある神社を参拝していたのは、必然かもしれません。
6. 出光佐三……海賊とよばれた男
石油元売り会社である出光興産グループの前身となる出光商会を設立した石油エンジニアで海事実業家です。福岡県にある宗像大社を篤く信仰し、その再建に貢献しました。宗像大社は日本神話に登場する日本最古の神社の一つで、宗像三女神がそれぞれ、沖ノ島の沖津宮、大島の中津宮、本土の辺津宮に祀られています。とりわけ、宗像三女神の市杵島姫命は、弁財天と習合した神で商売繁盛のご利益があります。
出光佐三が宗像大社を信仰したのは、地元の由緒ある大社であることと、弁財天が水 に関わる仏であり、財を成す仏であることが大きいと思われます。出光石油が扱う原油 は、燃える水とも呼ばれます。また、日本書紀には、臭水(くそうず)と呼ばれた原油
の記述が記されていますので、宗像三女神のお導きがあったのかもしれません。
7. 堤康次郎……「ピストル堤」の異名を持つ西武王国創業者
滋賀県出身の西武グループ(西武鉄道・プリンスホテル・西武ライオンズなど)の創業者。政治家としても衆議院議長を務めた人物です。
彼は神奈川県にある箱根神社を篤く信仰していました。箱根神社は古来より、関東総鎮守箱根大権現として崇敬された神社で、箱根大神を祀っています。坂上田村麻呂、源頼朝、執権北条氏、徳川家康などの多くの武将たちが信仰した神社で、龍神を祀る神社として知られています。奥宮は、昭和39年に堤康次郎の寄進によって再建されたものです。
鉄道は、線路を伸ばし電車を走らせ、人々や物資を運搬することにより、周辺が発展し、富を生み出すのに貢献しますが、線路は龍の体のようでもあります。堤康次郎が始めた鉄道事業は、龍神信仰とともに大いに発展していくのです。