8. 塚本幸一……ブラジャーで天下を取った近江商人

「ワコール」の創業者。戦後、女性の洋装化を感じたことから女性下着を作り始め、世界有数の女性下着メーカーに育て上げた人物です。

 ワコールの社名の語源となったのが、和江大龍神。和江大龍神とは、琵琶湖北部に棲む龍神一族のこととされ、現在はワコール本社敷地内にある和江神社に鎮座しています。

 また、琵琶湖がある滋賀県、つまり近江のことを江州と呼ぶことから、滋賀県出身であった塚本幸一が、江州を和す(やわす)という想いから和江と名付け、ワコールと名付けたとも言われています。

 著名な財界人を挙げましたが、彼らの多くが自宅近くの神社、あるいは出身地など、身近で縁がある神様、つまり氏神を頼っていたことがおわかりいただけたと思います。

 自宅近くの神社を氏神と呼びます。氏神は元々、血の繋がりがある集団、つまり親戚縁者が共同で祀った一族の神様のことでした。この氏神を祀る氏族の人々を氏子といいます。

 また、生まれた土地を守る神様を産土(うぶすな)様と呼び、移住先の神様をその土地を鎮め守る鎮守(ちんじゅ)様と呼びますが、現在では産土神、鎮守神ともに、氏神と同一視されるようになりました。今は生まれた土地と住んでいる土地が別であることが多いので、氏神は同じ氏ということを超えて、自分の住んでいる地域の神様を指すようになっているのです。

 有名財界人の例にあるように、自分のルーツである一族や、今、住んでいる土地を守ってくれる「氏神」は一番身近な神様です。

 私たちの日々の暮らしを見守っている神様ですので、散歩の時にでも、ご挨拶をするイメージで、感謝の気持ちを伝えてみてください。神様に嘘は通用しませんので、自分を見つめ直すチャンスになります。それが、巡り巡って開運に繋がっていきますよ。

 お正月は氏神様を通して、自らのルーツや地縁に思いを馳せるのに良い機会。是非、身近な神社にもお詣りに行ってみてください。