芸能の職業では、顔やスタイルが大事な要素であるが、それらは遺伝で決まってしまう。ある程度の素養があった上で、努力して痩せたりすることはできるが、素質がないとどうしようもない。

 特に、音楽の才能は9割ほどが遺伝子で決まると言われている。「アーティストになりたい」と思ったとしても、ほぼ遺伝子次第なのだ。

 努力をすることで結果が変化するのも事実だが、人生のスタート地点の違いで圧倒的な差があるときに、努力して埋めようとするのは相当難しい。

 それらを分けた上で、「それでも変えられる部分」を考えなくてはいけない。

1億5000万円の受付嬢

 日本では、2000年前後にITバブルが起きた。

 その当時、IT企業にたまたまいた人が、ストックオプション(自社株)をもらうことができ、普通に働いていただけなのに1億円を手に入れたりしていた。その人に1億円分の優秀さがあったわけでも、1億円分の努力をしたわけでもなく、いいタイミングでいい場所にいたのが重要だった。

 グーグルがユーチューブを買収したとき、受付をしていた女性が、約1億5000万円を手にしたことが話題になった。世の中にはそんなチャンスだって転がっている。

 先行者利益を得ることができるのは、自分の感覚で動いている人たちだ。

「ここにいるのはまずい」

「あそこに行くとよさそうだ」

 そう感じたときに、自分なりの考えを組み立てて場所を変えられること。それが決定要因になる。ただ、そう簡単にいくはずもない。

考えが固まってしまう前に

 おそらく古い常識は、あなたの柔軟な考えを邪魔してくる。

 たとえば、「銀行に就職が決まった」と親に言ったら、「一生安泰だね」と言われるかもしれない。

 けれど、金融庁の調べによると、地方銀行の利益の合計額は年々落ち続けていて、5年以上連続で赤字を出している銀行が増えている。

 銀行業界は、体力のないところから潰れていくことが決まってしまっているわけだ。

 いくら世間体のいい銀行勤めでも、あなたが優秀で努力家だとしても、日本全体の銀行が少なくなっていく波には逆らえない。

 それなら、追い風が吹いている業界に移ったほうがいい。

 大事なのは、自分の感覚だ。