針葉樹でガンガンに、広葉樹でトロッと……
ストーリーを演出しよう
「たき火の魅力はなんといっても、自分で火を誕生させ、育て、エンディングまで伴走すること。この一連のストーリーを演出することです」
では、どのようにたき火のストーリーを演出すればいいのか? 薪になる木をアウトドアショップやキャンプ場で購入することが多いが、その木の性質をよく知ることが最も大事なポイントだそう。
「薪は杉・ヒノキ・松などの針葉樹、なら、カシ、クヌギなどの広葉樹と大きく二つに分かれます。針葉樹は短時間でパッと燃えて火力が強い、一方の広葉樹は火力が弱めですが持ちが長いのです。この特性を知っていれば、火がつかなくて苦労したり、無駄にたくさんの薪を使ったりといった失敗を防ぐことができます」
まず、火の誕生から説明しよう。着火剤を使えば簡単に火がつくが、それではイージーすぎて面白くないという方は、火打ち石で火種を作ってみて。
「最初、ナイフやナタで針葉樹の薪をできるだけ細く割り、さらにナイフで鉛筆を削る要領で薄く削ります。“フェザースティック”と呼ばれる薄皮状態になったら、火打ち石またはファイヤースターターというアイテムで火をつけます。もちろんライターなどで点火してもいいですが、火打ち石の方が自分で火を誕生させる喜びが大きいです。僕の友人キャンパーは飽きもせず、ずっとそればかりやっています(笑)。自分と火の世界に没頭するのがいいのでしょうね」
火種ができたら、上に細く割った針葉樹をピラミッドのように組み立てる。そして、ある程度火が大きくなった時に役立つのが火吹き棒だ。これは口でふうふう吹いてピンポイントで酸素を送り、火をさらに大きくさせるためのもの。
「直接口をつけるので、衛生上他の人と共有できません。なのでマイ火吹き棒持参をおすすめします。価格が高いものもありますが、百均ショップにも販売されているので、一本持っておくといいでしょう。これがあれば焚き火とじっくり向き合えるし、消えかけた火をよみがえらせることもできるので感動します!」
そして針葉樹で勢いよく燃やした後は、広葉樹を投入して焚き火の寿命を伸ばす。
「それまでメラメラとガンガンに燃えていたのに、広葉樹を入れることでトロっとしたゆるい炎に変わります。また、ピラミッド型ではなく、薪を地面と平行に並べるとより長く燃えてくれます。火バサミで木を並べ替えて火をコントロールするのも楽しいですよ」
直火禁止のキャンプ場が多いので、リーズナブルなたき火台を購入してもいい。