パチンコ、麻雀、女、酒、タバコを欠かさず、ほぼニート状態の父親。それに母親が共依存するという複雑な家庭環境に育った。14歳のとき、父親が自己破産して失踪。貧しい生活を支えた母親は病に倒れ、半身不随に。苦境のなか、独学で大学に合格、奨学金を得た。そして、兄・成田悠輔がくれた本をきっかけに「起業」を志した。話題の書『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)の著者・成田修造は、体当たりで起業家の道を歩むようになる。本書は起業を通じた人生の指南書で、何歳からでも組織に頼らず、副業・独立・起業でビジネスを展開するときに必須の内容。これからは会社員であっても、自分で事業をつくれると強い。その思考法とノウハウを全公開する。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
終身雇用制度
の崩壊は当然
2019年5月、トヨタ自動車の豊田章男社長(当時)が、「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言し、話題を集めました。
これを日本企業の終身雇用制度の崩壊の兆しと受け止め、批判するマスコミがありましたが、僕は当然のことと感じました。
ビジネスの変化が激しい現代において、同じ人を40年も会社が囲い込むことはリスクも難易度も高いのは当然です。
人材や事業の流動性を
高めなければ生き残れない
今は、大企業が外部から人材を呼び込んだり、オープンイノベーションとしてスタートアップと協業したりする流れが進んでいます。
そのように人材や事業の流動性を高めなければ、生き残っていけないという意識が大企業においても強まっており、終身雇用制度を前提に人生を考えるのはリスクが高くなってきています。
レガシーな大企業が
駆逐される時代
インターネットが社会に広まるにつれ、大企業が担ってきたテレビや新聞に時間やお金を使う人は減り続けています。
X(旧・ツイッター)やネットフリックス、ティックトックなど、スタートアップが起こしたイノベーションの波にのまれるように、レガシーな産業は駆逐されつつあります。
そして、AI(人工知能)やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の世界に突入し、電気自動車や自動走行車が当たり前の時代になろうとしています。
“安定神話”に
依存しない生き方
こうした変化からわかるように、日本のトップクラスの大企業であっても、これから生き残れる保証はありません。
ということは、個人としても会社の終身雇用が維持されることを望むよりも、会社に依存しない働き方を考えなくてはいけません。
「老後2000万円問題」が話題を集めたように、日本人の将来に対する不安は高まるばかりですが、僕が思うに日本人が思い描いてきた"安定神話"に依存しない生き方が求められているだけなのです。
終身雇用制度は
歴史的にとても特殊なこと
終身雇用によって1社を勤め上げれば一生涯生活できる時代は、歴史的にみて非常に特殊であり、そうした時代が続くと考えるほうが不自然です。
これからは、1つの会社に頼ることなく、多様な働き方にチャレンジしたり、複数の収益源を持ったりする柔軟性が必要でもあります。
社外で勝負できる
プロを目指す
ちなみに、トヨタの豊田章男社長(当時)は、2019年の年頭挨拶で、このような言葉を残しています。
「トヨタの看板がなくても、外で勝負できるプロを目指してほしい。マネジメントは、プロになり、どこでも闘える実力をつけた従業員が、それでもトヨタで働きたいと、心から思ってもらえる環境をつくりあげていきます」
もはや、企業の看板だけで評価される時代ではありません。1人ひとりが時代の変化をとらえて、起業家精神を持って、自ら変化をつくり出せる人にならなくてはいけません。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。