医師が「1975年頃の日本人の食事内容」が栄養学的に最も優れていると指摘する理由【根拠は沖縄】『ハーバードが教える 最高の長寿食』
満尾 正 (著)
定価935円
(朝日新聞出版)

 これにはいろいろな原因が考えられますが、一つは食生活の変化が指摘されています。1945年の終戦後から1972年まで、沖縄県ではアメリカの統治が続き、肉食やハンバーガーといったアメリカ型の食事が浸透していきました。現在、そうした食文化の中で育ってきた人たちが年齢を重ねてきた影響が出ているのではないかと考えられるのです。

 食生活の欧米化は、じつは沖縄県だけに限ったことではありません。近年、平均寿命の伸び率は鈍くなっていますし、全国の2021年から2022年の2年間は平均寿命が前年より短くなっています。厚労省は新型コロナウイルスの影響が大きかったからで、新型コロナの感染拡大が落ち着けば、平均寿命が再び上昇する可能性もあるとコメントしていますが、いずれにせよ平均寿命は近いうちに頭打ちになる可能性があります。

 少なくとも、美食・飽食にまみれて健康を意識しない食事を続けていては、生活習慣病が増え、健康長寿とはかけ離れていくでしょう。今一度、1975年ごろの食卓に並んでいたシンプルな和食の良さを再認識し、今の自分のライフスタイルに合った「健康長寿食」を見つけていただきたいと思います。

満尾 正(みつお・ただし)
満尾クリニック院長・医学博士。日本キレーション協会代表。米国先端医療学会理事。日本抗加齢医学会評議員。1957年、横浜生まれ。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、2002年、日本初のキレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを赤坂に開設、2005年、広尾に移転、現在に至る。主な著書に『世界の最新医学が証明した長生きする食事』『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』(アチーブメント出版)、『世界最新の医療データが示す 最強の食事術』(小学館)、『医者が教える「最高の栄養」』(KADOKAWA)など多数。

AERA dot.より転載