マウスを使った実験ですが、1975年の食事内容には内臓脂肪が増えるのを防ぐ働きがあることも確認されました。さらに、糖尿病の原因とも言われるインスリン感受性低下も1975年の食事が最も少ないことがわかりました。この研究では、その理由を栄養成分が満遍なく含まれていたのが1975年の食事だからと結論づけています。

 1975年といえば、今からほぼ50年前、高度経済成長の真っ只中です。化学的農法が推奨され、日本の自然がどんどん失われていった時代でもあり、一方でファストフードの波が始まった年代でもあります。

 現在、50歳代以上の人はこの時代の一般的な和食を覚えていて、「なんのことはない、あの普通の食事が?」と思われるかもしれませんが、働き盛り世代、子育て世代の30~40歳代の人は、もはや和食の基本である「一汁三菜」よりも、ファストフードのほうが馴染みのある食事になっているでしょう。

 栄養学的に最もバランスが優れていた1975年ごろの和食の良さを、改めて見直すべきときが来ています。

 もう一つ、それを裏付けるのが、沖縄県の平均寿命の順位が落ちてきていることです。1980年代まで、沖縄県は都道府県別平均寿命が男女とも1位を誇り、長寿県として知られていました。ところが、2000年頃からだんだんと順位を落としていき、2020年には男性はなんと43位。後ろから数えた方が早い順位です。女性も16位まで下がってしまいました。