冬のおすすめ日本庭園[1](兼六園/石川)
江戸時代には、大名が将軍の訪問にも困らないよう、豪華な池泉回遊式の大名庭園を作りました。有名なもののひとつは、石川県金沢市にある「兼六園(けんろくえん)」です。兼六園は8000本を超える木々や日本最古とされる噴水、歴史的建造物を自然の移ろいとともに楽しむことができます。
雪が多く降る金沢では、雪の重みで松の枝が折れないよう、11月から雪吊りが松に施されます。松の中心部分に柱を立て、柱の先端から縄を張り松の枝をつり上げる技術は、松を雪害から守るだけでなく、冬の庭園の魅力のひとつとなっています。
冬のおすすめ日本庭園[2](浜離宮恩賜庭園/東京)
冬の日本庭園の魅力である雪吊りは、実は東京でも見ることができます。
築地や新橋の近くにある浜離宮恩賜庭園も、冬に雪吊りを見ることができる庭園のひとつです。都内最大級の樹齢300年の黒松や、東京湾の海水を園内に引き入れた「潮入りの池」が有名で、池の真ん中にある中島の御茶屋では、抹茶をいただきながら高層ビルを借景とした東京ならではの庭園風景を楽しむことができます。
池泉回遊式庭園は、場所によって景色が変わって見えるため、さらに広く感じられるのも魅力。浜離宮恩賜庭園は、東京ドーム5個分ほどの面積があるので、できれば冬晴れの天気がよい日を選んで、太陽を感じながら歩き、植物をゆっくり眺めたり、茶屋で抹茶をいただいたりして、都会の喧騒から離れたゆったりした時間を感じるのがおすすめです。
禅庭園「枯山水」
ふたつ目の庭園の種類である「枯山水(かれさんすい)」は、水を中心とした池泉式とは対照的に「水を用いずに水を表現した」庭園で、歩いて楽しむのではなく、「眺めて感じる」のが特徴です。
枯山水は、鎌倉時代~室町時代、禅を好んだ武士の時代に生まれた庭園で、鎌倉時代に日本に伝わった禅と深く関係しています。庭園には、清浄を意味する白砂が敷かれ、そこに水面の波やうねりを表現する砂紋が描かれます。ところどころに配置された石組は、仏教で世界の中心にそぼえ立つとされる須弥山や仏様が3つ並んだ三尊石、縁起のよい鶴亀を表現し、植物も華やかな植物ではなく、苔や木が使われ、無駄を削ぎ落とした禅の精神を感じられる庭園となっています。
瞑想や座禅を目的に作られた庭園なので、静かに座り、ゆっくりと眺め、鳥の囀りや風の音とともに流れゆく時間を感じながら、その庭園の意図や意味を自問自答して過ごします。