運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。

【「林修の今知りたいでしょ」で話題!】冬の最強ウォーキング術 1万歩は「一気に」歩かないと意味がないのか?
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運動は一気にしないと効果がないのか?

 アメリカテキサス州にあるクーパークリニック・エアロビクス研究センターの研究チームは、運動プログラムに参加した合計240名の男女に対して、細切れの運動とフィットネスを利用した20~60分の運動を比較検討しました(※1)。

 その結果、細切れの運動でも、体力と心肺機能向上および血圧降下に有効であったことがわかりました。

細切れウォーキングで血糖値も下がる

 また血糖値に関しても、アメリカのジョージ・ワシントン大学の研究チームが、細切れ運動の有効性に関する調査を行いました(※2)。

 この調査は「1回45分のウォーキングを午前10時30分から45分間行う場合」「1回45分のウォーキングを午後4時30分から45分間行う場合」「毎食後15分のウォーキングを1日3回行う場合」を比較するというものでしたが、この調査によると「朝の45分ウォーキング」と「各食後の15分ウォーキング」を行った日の平均血糖値は、ウォーキングを行わない日に比べて低下、中でも各食後の短時間のウォーキングが夕食後3時間の血糖値を最も低下させていたことがわかりました。

 つまり血糖値を下げるという点においても細切れのウォーキングは有効だったということです(次図参照)。

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一度に多く、早く歩かなくていい

 日頃まったく歩いていない人が、週末だけ一気に1万歩を目指して歩いてしまうと、体に負荷がかかってしまう可能性もありますのでこれには注意が必要です。

 また、メタボや高血圧、シニアのみなさんには極端な早歩きもおすすめしません。

 一気に早く歩くことは考えず、まずは自分のリズムに合ったスキマ時間に「ちりつも」を意識しながら歩く習慣をつけましょう。

※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的で効果的な歩き方が紹介されています。ウォーキングで効果を出すには歩き方に「コツ」があります。このコツを本書でぜひ掴んでください。

【参考文献】
※1 Dunn AL et al.  Comparison of lifestyle and structured interventions to increase physical activity and cardiorespiratory fitness: a randomized trial. JAMA. 1999 Jan 27;281(4):327-34. doi: 10.1001/jama.281.4.327.

※2 DIPIETRO L, et al.  Three 15-min bouts of moderate postmeal walking significantly improves 24-h glycemic control in older people at risk for impaired glucose tolerance.  Diabetes Care. 2013 Oct;36(10):3262-8. doi: 10.2337/dc13-0084. Epub 2013 Jun 11.