誰かの写真をマネすることも悪いこととは思わないけど、どうせマネするなら広い範囲の写真を知ってからがいいと思います。ひとつの被写体でも古今東西どんな写真があるか調べるのがオススメ。

 カメラを買おうとする人は、すでにスマホで写真をたくさん撮ってると思うんです。スマホに入ってる写真を見返してみましょう。自分の好きなものしかないと思います。ここで「こんなくだらないものばかり」と自分で自分をディスるのはいい加減やめましょう。ナルシストもどうかと思うけど、自分を卑下しまくるのもどうかと思いますよ。

 そもそも人は好きなものしか写真を撮りません。好きな人のことは撮りたいけど嫌いな人のことなんか撮りたくないんです。これは視点でもおなじ。好きな人のことは見たいけど嫌いな人のことは視界にも入れたくないものです。

 だから「見たものを撮る」でぼくはいいと思うんです。興味や関心があるから見ています。子どもの運動会では自分の子どもしか見ないでしょ。アイドルグループで推してるメンバーがいたら、その人のことばかり見ちゃうでしょ。好きだからですよ。

 だから「好きなものを撮る」は「思わず見たものを撮る」でいいんです。見たものを撮ればいいだけ。見たものを中心で撮るだけでいい。ピントとか露出とか構図とかまったく考えなくていいです。考えなくていいために事前に設定をしっかりする。

「幡野広志が撮った写真」「コーラをグラスに注いだら泡が溢れないか見るでしょ?見たら撮ればいいだけ。」(写真提供/筆者)

あなたの写真をけなす声は
まったく気にしなくていい

 イソップ物語に「すっぱい葡萄」という話があります。あるキツネが葡萄を食べようと狙っていたけど、食べることができなかったんです。キツネは悔しくて狙っていた葡萄をすっぱくて美味しくない葡萄だと決めつけて自己正当化する話です。

 自己の能力の低さを正当化したり擁護したりするために、手に入れられないモノの価値を悪くいう負け惜しみです。まぁこういう人っていますよね。葡萄がすっぱいか美味しいのかは食べないとわからないですよね。もっといえばすっぱい葡萄を食べた経験と、美味しい葡萄を食べた経験が必要なわけです。