2024年1月13日・14日、第4回目となる大学入試共通テストが実施されました。1000人以上の東大生のノートを分析してまとめた『「思考」が整う東大ノート。』の著者であり、現役東大生の西岡壱誠氏は、東大生は試験問題へのメモにも特徴があると言います。本記事では、西岡氏に「東大生の試験問題へのメモ術」について話を聞きました。

東大生は「試験問題へのメモ」にも特徴がある?Photo: Adobe Stock

東大生は「試験問題へのメモ」に特徴がある!?

2024年1月13日・14日、第4回目となる大学入試共通テストが実施されましたね。

今年も難しい科目も多く、苦戦する受験生も多かったです。東大生集団である我々「カルペ・デイエム」も、10数人で共通テストを解き、その結果をシェアしています。https://carpe-di-em.jp/media/5108

そんな中で僕が気付いたのは、試験時間内のメモの取り方です。東大生たちが試験を解くときに、試験問題にしっかりと、試験で点を取りやすくなるようなメモをしていたのです。

今日はみなさんに、「東大生たちは試験問題にどんなメモを取っているのか」について共有したいと思います。

たとえば、こちらをご覧ください。

東大生は「試験問題へのメモ」にも特徴がある?

これは世界史Bの共通テストのメモですが、「/」「___」が入っているのがわかるでしょうか?

Xは、「ハロルド2世は、証聖王によって後継者に指名されることもなく、また王国の有力者によって選出されることもないままに、国王の座についた」と書いています。

簡単に読解できる1文だと思うのですが、かなりの文字量の問題を短い時間で読解しなければならない問題なので、ここに手を加えて、より読解しやすくする必要があります。

ここで線を引いているのは、「主語と述語です。文の大体の意味を理解するためには、主語と述語を整理しやすいメモを取るのが一番なのです。

たとえば、「あの高層マンションの隣にあって1階にコンビニがあるビルが壊れてしまった」という文があるとします。「、」がなく、少し周りくどい文なので、若干読解するのに時間がかかります。でも、この文に線を引いて、「あの/高層マンションの隣にあって1階にコンビニがある/ビルが壊れてしまった」としたらどうでしょう? 簡単に意味が理解できますよね。

主語が「あのビル」で、述語が「壊れてしまった」です。「ビルが壊れた」ことを伝えたくて、その補足的な説明として「高層マンションの隣にあって1階にコンビニがある」という情報を入れているだけです。

「ハロルド2世は、証聖王によって後継者に指名されることもなく、また王国の有力者によって選出されることもないままに、国王の座についた」とありますが、これも、「ハロルド2世は、/証聖王によって後継者に指名されることもなく、また王国の有力者によって選出されることもないままに、/国王の座についた」と線を引くと、「ハロルド2世が国王の座についた」ということが明確になります。

そして、その補足的な情報として「証聖王によって後継者に指名されることもなく、また王国の有力者によって選出されることもないままに」とあるわけですね。

「/」や「___」で、強調するべきポイントを整理しているわけです。こういうメモを取っておくと、あとから見返した時にも一目でパッと「この文の大雑把な意味」がわかるわけです。

ちなみにここの「なく」「ない」に「○」のメモを付けているのは、繰り返しの表現なので「Aではなく、Bでもない」という文のテンポがわかるようになるからですね。

その次の、「証聖王がノルマンディー公に王位を譲る約束をしていたにもかかわらず、ハロルドが宣誓を破って即位したことから、ハロルドの王位継承は許されない。」は、「証聖王がノルマンディー公に王位を譲る約束をしていたにもかかわらず、ハロルドが宣誓を破って即位したことから」のところが理由を述べていて、真に伝えたいのは「ハロルドの王位継承は許されない。」の部分ですよね。ですから結局、いろんな理由があるから、「ハロルドの王位継承は許されない。」のだということが伝えたいものだとわかります。