路上には「良い人」ばかりではなく、いろいろなドライバーがいます。爆音で音楽を流しながら運転する人。スピードを出したがる人。自分が絶対に正しいと信じている人。そうした人々は免許取得から時間がたち、ある程度運転に慣れているのでしょう。ですが、必ずしも運転技術や危機察知能力が高いとはいえません。単に「雑だから」「気性が荒いから」ではない、その納得の理由を安全運転インストラクターが解説します。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
同じように日々運転していても
運転技術が「伸びる人・伸びない人」が鮮明に
クルマの運転というのは、実に面白いものです。同じように日々運転していても、ドライビングスキルが上達する人としない人がいます。両者を分けるポイントが何かを、今回はお伝えしていきます。
運転技術の「伸び率」が一番高い時期は、運転免許の教習中や免許取り立ての頃です。クルマを全く運転したことのなかった人が、クルマに乗ってある程度自由に動かせるようになるのですから、この時期の伸び幅が大きいのは理解しやすいと思います。
しかし、それだけではありません。多くの人はこの時期、クルマの運転を楽しく感じ、「どうしたら上手になるのか?」を自然と考えながら運転します。この「どうしたら」を考えることが、運転技術向上において最も大切なのです。
例えば、何も教わらない状態で「クルマの先端を停止線に合わせて停車する」という課題を出されても、できる人はほとんどいないでしょう。一方で、「運転席のドアミラーの下に停止線が来るように止まると、ぴったり合わせられる」と教わった後、「どうしたらそれができるか」を考えながら努力すると上達し、身に付けられるはずです。
また当然ですが、自動車教習所のインストラクターなどからもらったアドバイスを、素直に受け入れる人も運転が上達します。
筆者が所属している「日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)」という団体では「U-18運転予備校」というイベントを開催しています。18歳以下で自動車免許を持っていない若者を対象に、安全を確保した場所でクルマを運転してもらう企画です。
参加者はクルマなど触ったことがない少年少女ばかりですが、あっという間に基本的な操作ができるようになります。ゼロの状態からインストラクションをしっかりと聞き、それを実践するからできることなのです。
では、どんな人が上達しないのでしょうか。