答えはシンプル。「どうしたら上達できるか」という疑問を持たず、漫然と運転する人。それから、インストラクションなどを聞き入れず、自分の考えを一切曲げない頑固な人です。さらに、下記で詳説する「認知」を大切にしない人も上達できないといえます。
「視覚」以外の感覚も
フルに生かして運転すべし
クルマの運転は「ドライビングループ」と呼ばれるサイクルに分解できます。それは「認知」→「判断」→「操作」です。運転は、この3つの基本的要素を繰り返し行うことで成り立っています。
裏を返せば、このサイクルがどこかで途切れると運転は成り立ちません。その状況からリカバリー(修正)できなければ事故につながります。運転の上達というと、どうしても「操作」の向上ばかりが注目されますが、その前に正しく「認知」「判断」することも大切です。
このうち「認知」は人間の感覚機能(=五感)がつかさどっています。言わずもがなですが、五感とは視覚、触覚、聴覚、嗅覚、味覚です。このうち運転に関係ないのは味覚だけ。後の4つは運転にとって大切なものです。
視覚は言うまでもないでしょう。運転時の情報は目から得るものが重要で、9割以上は視覚情報を使って運転しているといわれています。目を隠したら運転はできません。
にもかかわらず、視覚情報はなぜか軽視されがちです。少しくらいなら大丈夫だろうと、脇見運転、運転中のカーナビ操作、スマートフォン操作などをする人がいます。それらはもちろん事故やトラブルの原因になります。ドライビングループの「認知」の部分が機能しなくなるからです。
視覚だけでなく、触覚も重要です。ステアリングから伝わってくるタイヤのグリップ感は、路面の状況を把握する上で役立ちます。聴覚を生かして車体の「風切り音」やタイヤのノイズを聞きながら走ると、トラブルが起きた際の異音などにも気付けます。
嗅覚は、普段の運転にはあまり関係ありませんが、トラブルを察知するには大切な感覚です。オイルの焦げるにおいや、クラッチの焼けたにおい、冷却水が蒸発する際に発する甘いにおいなどに気付けるからです。