私たちは、収集した会話の例すべてについて、会話への参加者それぞれが「負担した相対的労力」を調べ、同じ傾向がすべての言語に見られることを確認した。話す言語にも、文化にも関係なく、すべての人が、修復を促す際にはできる限り「強い」言葉を使おうとすること、それによって相手が問題解決のために負担する労力をできる限り減らそうとすることが確認できたのだ。
このような傾向が見られることは、人間が普遍的な会話機械を持つことの証拠とも考えられる。どの言語を話していても、会話の時に取り得る行動の選択肢は基本的に同じで、選択のルールもほぼ同じのようだ。
基礎にあるのは、互いに協力し合おうとする姿勢、それによって効率を最大限に高めようとする姿勢である。修復を促す言葉を適切に使うことで、人は会話をより効率的にすることができる。互いに、解決のために負担する相手の労力を減らそうとするという利他的な態度を取るおかげだ。互いに相手の言うことを確実に理解していることを常に確認し合っていれば、会話は絶えず円滑に流れて行くだろう。