責任感の欠如を疑われ、要職に就けてもらえない

 まず、経歴の不安定さが大きな懸念事項となる。

 職歴に短期間の在籍経験ばかりが並ぶと、将来の雇用主はその人物の仕事に対するコミットメント・責任感の欠如や安定性を疑うかもしれない(というよりまず間違いなく疑う)。

 雇用主は一般的に、組織への長期的な貢献を期待して従業員を採用する。頻繁な転職歴を持つ応募者は、難しい状況や挑戦に直面した際に、持続的に取り組むのではなく、さっさと転職してしまうだろうと雇用主は考える。こうした印象は、たとえその応募者が採用されたとしても、雇用主がリーダーシップや重要なプロジェクトを担うポストに誰を据えるかを考える際に、障害となる。

 専門性の欠如も重要な問題だ。

 各職場での短期間の在籍は、特定の分野や技能において、深い専門知識を獲得するための十分な時間がないことを意味する。特定の技術や業界における深い知識や経験は、時間をかけて蓄積されるものであり、頻繁な転職は、当人としては同じ領域を深掘りしているつもりであったとしても、そのプロセスを妨げる可能性がある。

 また、信頼関係の構築が困難になることも考慮すべき点である。

 長期間の勤務を通じて同僚や上司との信頼関係を築くことは、プロフェッショナルな成長において非常に重要だ。しかし、短期間の在籍では、周囲との関係を十分に構築することが困難になり、結果としてキャリア上の機会を逃すことにつながる。「そういえばいたなあ」くらいにしか思われていない人物には面白い機会はもたらされない。