合意の有無でなく、合意の中身こそが重要

 記事で笑ってしまったところ。文春側は、記事掲載の前に松本さん本人を直撃し、事の真偽について確認を取ってます。いきなり不意打ちでスクープ記事を載せたのではないので、これはフェアなやりかたです。

 で、その際に松本さんは「もう好きに書いてくださいよ」と記者にいってるんです。

 松本さん、あなた合意してるじゃないですか(笑)。

 松本さんは当初、事実無根だから戦うと宣言しましたが、その主張を繰り返してないところを見ると、いくつか性行為があったことは認めるが、合意の上だから問題ないとする戦法に切り替えたのだと思われます。

 でも、合意があれば何をしてもいいのなら、「好きに書いて」と松本さんの合意を得た文春は、何を書いてもいいはずですよね。合意しておいて、あとから名誉毀損で訴えるなんて、ズルいよ~松ちゃん。

 というのはもちろん冗談です。私のホンネは逆で、合意・同意を絶対視する考えかたに賛同できません。

 合意があれば許されるというのなら、すべての詐欺事件は無罪になってしまいます。ダマされた時点では、被害者はみんな合意してるんですから。詐欺師が「えー、契約したときは、あんた合意してたじゃん」といえば、詐欺師は無罪ですか? そんなわけない。あとからでもダマす意図があったことを証明できれば、罪を問えるんです。

 重要なのは合意があったかどうかではなく、合意の中身と合意に至った状況です。本当に双方がすべて納得した上での合意だったのか。虚偽や脅迫、社会における力関係を利用した威圧などによる合意だったら、それは詐欺と同じです。あとから取り消せるのが当然です。