救急車の有料化は
全国に広がっていくだろう

 三重県松阪市が今年6月から、救急車が出動した際に入院に至らなかった場合は7700円の利用料を徴収すると発表しました。

 実は、日本全国の救急出動件数はこの20年間で約1.6倍に増加しています。松阪市ではこれ以上増えると救急車の出動件数が限界を超えると危惧する一方で、不要不急の通報が負担になっているというのです。

 松阪市以外でも救急車を病院に行くタクシー代わりに使う事例などが社会問題になっています。そういった利用を抑制するために「入院するほどのものでなければ一律7700円」というルールを定めるというのが松阪市のアイデアです。

 ちなみに食べ物がのどに詰まったなど、入院が発生しなくても命に係わる緊急性があったと医師が判断した場合は徴収の対象外になるそうです。

 実は私も、これまでで一度だけ救急車を呼んだことがあります。家族がぎっくり腰になって、朝起きたらまったく動けないというのです。起き上がらせて自家用車で病院に連れていこうにも「痛い、痛い」とどうしようもなく、救急車を呼んで担架で病院に搬送されました。

 ぎっくり腰というものは痛み止めの薬をもらいコルセットで固めたら、結局数日間安静にするしか治療法がないわけで、家族もその日の午後にはタクシーで家に戻ることになりました。

 要するに、このようなケースは松阪市では7700円になるというわけです。

 おそらく賛否両論になると思いますが、わたしはこの制度はいい制度だと思います。不要不急の通報は確実に減るはずですし、日帰りの患者から徴収した分はこれから人口が減少する日本各地の自治体が救急車を維持する財源として使えるからです。

 そのような理由から、救急車の有料化は、全国の自治体が松阪市の導入事例をよくよく吟味したうえで、それがうまくいくと判断すれば今後、全国に広がることになると私は予測します。