2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの魔法Photo: Adobe Stock

神様が嫌いな3つの感情は、「復讐心」「嫌悪や憎悪」「自己顕示欲」らしい

 人間は、「復讐心」「嫌悪や憎悪」「自己顕示欲」の「3つの感情」を持つと、損をするようです。というのは、これらはみな、「神様に嫌われる感情」らしいのです。

 この3つは、自分では抑え込んでいるつもりでも、ちょっと気を許すと、すぐに芽吹いて大きくなろうとします。

 とくに「自己顕示欲」(自分を「たいしたものだ」と認識したい気持ち)は、「すごい」「素晴らしい」という賞賛を浴びるほど、大きくなっていくようです。

 自己顕示欲が大きくなりすぎると、「自分はこんなにすごい人間なのだ」と自慢話をするようになり、自分を見失ってうぬぼれます。

「すごい実力」を持った人でも、口から出る言葉が「自分がどれほどすごい人か」という自己顕示欲、「自分はこんなにすごいんだけど、正当に評価されないのは許せない」という嫌悪、「いつか見返してやるんだ」という復讐心ばかりだったとしたら、誰も話を聞きたいと思わないでしょう。

 人が何かを成し遂げたとき、そこには「天の運、地の利、人の支援」の3つが存在していると思います。

 自分の実力や才能、才覚、努力で到達できるのは、「成し遂げよう」と思ったことの途中までで、それプラス「天の運、地の利、人の支援のいずれかが欠けても達成できない」と、私なりの結論に至っています。

 高校野球を例にとって考えてみましょう。本人に非凡な打撃センスと剛速球を投げる肩があったとしても、対戦相手の運もあれば、天候の運もある。

 打った打球がどこに飛んでいくのか、仲間がしっかり打ってくれるのか、守ってくれるのかなど、「自分の実力だけではどうにもならないこと」があります。

 こうした「運」は、次の3つのものから複合的に生み出される気がします。その3つとは、「明るい心」「感謝する心」、そして、「誠実さ」です。

「明るい心」とは、どんな苦境に立たされても夢や希望を失わない心のことです。

「感謝する心」とは、自分が何かを成すことができたのは、「天」「地」「人」が味方してくれたからであることを知って、感謝することです。

「誠実さ」とは、表も裏もなく、今ある状況で一所懸命に、謙虚に尽くすことです。この3つを持っていると、どうも「幸運や好運に恵まれる」ようなのです。

 真言宗の宗祖である弘法大師・空海は、「真言密教」の教義をひとりで完成させ、多くの教えや寺院を残しました。

 長い歴史の中でも、「天才」と呼ばれていますが、この空海にも「座右の銘」があったと言われています。空海ほどの天才が、どのような言葉を座右の銘にしていたのか、とても気になります。その言葉とは、

「人の短を言うなかれ。己の長を説くなかれ」

 というものでした(空海自身の言葉ではなく、後漢の文人、崔援が残した『座右銘』を空海が筆写した、と言われています)。

「他人の短所を口にしない。自分の長所を『どうだ、すごいだろう』と説明しない」という意味です。空海ほどのすごい人であっても、「自慢しない、うぬぼれない」ことを常に自戒していたようなのです。

「復讐心」「嫌悪や憎悪」「自己顕示欲」を持たないように自分を戒めて、ただ黙って行動をしていれば、自慢せずとも、多くの人に認められるのではないでしょうか。