写真:能登半島地震により休業中の食祭市場能登半島地震により休業中の食祭市場 写真提供:小倉健一

能登半島地震では道路インフラが損壊し、従来の救助、復旧活動を行うことが難しくなっている。このような中、海外では災害救助に大活躍している「ドローン」が原則利用禁止にされてしまった。一体なぜなのか。理由をたどると時代遅れな規制にたどり着く。(イトモス研究所所長 小倉健一)

海外では災害救助に大活躍のドローンを
能登半島では原則禁止にしてしまった

 1月1日16時10分に発災した「能登半島地震」(能登地震)は、被災地に大きな被害をもたらしている。震度7を記録した志賀町、輪島市。津波も発生し、道路インフラ、水道インフラはズタズタにされてしまった。消防庁の発表(2月5日14時現在)によれば、死者は240人、負傷者(死者を除く)は1291人。住宅被害は、全壊3125棟を含む、3万538戸に及んでいる。

 道路インフラがズタズタになったことで、従来の救助、復旧活動を行うことができないのが、今回の能登地震の特徴だ。被災地域に宿泊設備を持つ自衛隊とは違って、警察や消防はその場にとどまることができず、朝晩に渋滞が起きてしまっている。発災直後には、海上やヘリコプターをつかった厳しい条件での救助活動が続いていた。

 こうした被災地の状況を見ると、海外では災害救助に大活躍している「ドローン」をなぜ日本では活用しないのかという疑問が湧いてくる。

 日本では発災直後の1月2日、国土交通省航空局は能登半島全域に対し、ドローンなど無人航空機の飛行を原則禁止にしてしまった。「捜索や救難活動などを行う有人ヘリコプターの妨げにならないようにするため」だというが、「有人ヘリコプター」がいけない地域、そして夜間に大活躍できるのが「ドローン」なのである。世界では人命を救ってきたドローンが、日本ではまさかの邪魔者扱いの現状がある。

「屋根瓦の被害をドローンで確認したい」
切実な要望も、無意味な規制が障壁に

 現在の復興作業においても「能登は瓦の家屋が多く屋根瓦の被害確認をドローンでできず屋根に登るリスクが発生しています。100g未満の模型航空機も飛行NGです。係留飛行のような限定された飛行が可能になるように今回緊急で特例にして欲しいです」(https://twitter.com/duf88logbook/status/1743044690767999391)という切実な要望が出ている。自分たちがかけた無意味な規制が復興を妨げている現実を知るべきだろう。医療のリソースが足りない現在の被災地で、怪我人がでたら、目も当てられない。

 ドローンに限らず岸田政権は「対策はしました」というばかりで、「効果」がない施策ばかりだ。上っ面ばかりで実質が伴わない事例が事欠かない。

 例えば、2023年に起きた「トルコ地震」では、発災後10日間で、無人航空機システム(UAS、ドローン)が1474時間20分のミッションフライトを行っている。有人ヘリコプターや人間では行きにくい場所、夜間をドローンが飛び続けて、障害の発見、救助活動に大活躍した。さらにはライティングドローンが、地上の電源とつないで、長時間の災害現場の照明として活躍している。