「私は自分にないものを補わなければいけない、能力の面積を広げないといけないという思考が強すぎて。近視眼的思考しかできないんですよね。目の前のことしか見えない。それと、自分に自信がないからリスクを取らなければいけないという思考になりがちなところがあります。あとは周囲の人が正しいと言っていることを真に受けすぎる傾向があって、その3つが絡み合っているなと思うんです」

 高松さんは日々寿命を短くしながら働いているのを感じているそうだ。大学の頃に思い描いていた自分といまの現状に違いがありすぎて困惑するのだという。

書影『ルポ 高学歴発達障害』(ちくま新書)『ルポ 高学歴発達障害』(ちくま新書)
姫野 桂 著

「振り返ると、『まともな人間になりたい』『まともな人間だと思われたい』という気持ちが根底にあって、それを原動力にいろいろなことに挑戦してきたんだと思います。昔は『まともな人間になりたかった』みたいなタイトルのブログを書いていたこともありましたし、ちょっと中二病っぽいですけど、それなりに深刻に悩んでいて」

「でもなんというか、他人と方程式が違う感じがするんです。努力すれば報われると教えられてきたのに全然報われていなくて、むしろ自分に合ってないことを無理やりやろうとして、より苦しみが増しています。1+1は2なのになぜか3になったり4になったりするような。悲しさや落胆じゃなくて理解が追いついていないという気持ちでここ1年ほど生きています」

 モテたい気持ちを突き詰めてマッチングアプリをやりこんだり、何者かになろうとインターンをしたり、転職をしたり、何かに翻弄されながらもがいているようにも見える。エネルギッシュな彼女の生きづらさはこの先、どのように解決へと向かっていくのだろうか。