預け入れる期間が長い方が、金利は高くなるが…
先にも書いたが、定期預金の原則は、預け入れる期間が長い方が金利が高めになる。すぐには使わないお金が手元にあったとして、では5年物や10年物を選ぶのが正解かと言えば少し違う。特に、これから金利が上がるかもしれないという局面では悪手だろう。固定金利の定期預金の場合、預けた時の金利が7年なり10年なりの間ずっと固定されてしまうからだ。
市場の金利がじわじわ上がっていったとしても、その恩恵は受けられない。住宅ローンを想像するとわかりやすいだろう。固定金利のローンなら金利動向に関係なく、決められた期間は同じ金利のままだが、変動金利ローンは返済スタート時から上がってしまうこともある。ローンでは金利不変の固定が安心だが、定期預金だとデメリットだ。
いずれ金利が上がると考えられている今、10年もの間ずっと0.2%で変動せず…というのはもったいない。目先の金利に惑わされず、フレキシブルに乗り換え可能な短期物にしておく方が無難というわけだ。
そのあたりの心理をくんで、1年物や、それより短い3カ月物、6カ月物などの金利を上げているネット銀行も多い。とはいえ、3カ月では大した利息も付かないので、やはり預け入れの基準となるのは1年物の定期ではないか。年0.2~0.3%の金利ならそう低くはない。
2024年中にさらに金利が上がるとしても、そこまで劇的な変動があるとは思えない。安全策を取るなら1年物で、大きな金利上昇がないと考えるなら3年物までが許容範囲というところか。もちろん、100万円を1年物で、もう100万円を3年物に預けるというミックス方式もいいだろう。それなら高めの金利を期待しつつ、金利上昇時にも対応できる。投資だけでなく、定期預金にも資金の分散は有効なのだ。