KDDIよりも先に「楽天買収」を狙うのは
伊藤忠・ファミマ連合かもしれない
この先、コンビニと通信、リアルとネットとAIとが融合することで日本国内にGAFAMに対抗できるような企業連合が生まれるとすれば、そのために必要な四つの要素が重要な意味を持ちます。
それは、
(1)リアル購買関連のビッグデータ
(2)ネット購買関連のビッグデータ
(3)GPS関連のビッグデータ
(4)ポイント経済圏としてのユーザー基盤
です。
そして今のところ、この四つすべてを持っている企業はなく、仮に三菱商事・KDDI・ローソン・楽天連合が成立したら初めてその四つがそろうというのが先週の記事の要点でした。
では、他の業界関係者の持ち札を確認してみましょう。
コンビニ業界の王者セブン-イレブンと2位の伊藤忠・ファミマ連合はどちらも(1)しかカードを持っていません。
イオンはコンビニでは弱い立場ですが、小売流通の王者という意味では同様に強い(1)のポジションにある企業です。
一方で携帯業界トップのドコモは(3)が異常に強いだけでその他は弱い。この4者が潜在的に楽天を「花嫁」として迎えることに関心を持つ可能性がある集団です。
そして対照的というか、楽天と近い立場にあるのがソフトバンクです。ヤフオク!、ヤフーショッピングがあり、ソフトバンク携帯がありLINEがあり、そしてQRコード決済で圧倒的シェアを持つPayPayを保有します。(2)と(3)と(4)のカードを手持ちにそろえていて、あと1枚で上がり待ちという状態にあるわけです。
では、このメンバーによる業界再編が起きるとしたら、誰が動くのでしょうか?
KDDIの狙いがうわさとして広まった時点でも動きが遅いのは、セブンとドコモでしょう。どちらもスマホ決済関連で一度、過去にトラブルを起こすというミソをつけていて、できれば今の本業のビジネスモデルにフォーカスする戦略を取りたいと考えているはずです。セブンはヨーカ堂のリストラで手いっぱいでしょうし、ドコモにとっては次世代ネットワークのIOWNに戦略を集中したいはずです。
次に、変化は好きだけれども早急なM&Aは好まないのがイオンです。今、イオンはドラッグストア再編に力を入れていますが、そのスピードは徳川家康のように慎重です。少しずつ資本を入れて時間をかけてじっくりと子会社化を目指すというのが、イオンのスタイルです。
そう考えると、今回のKDDIによるローソン買収のニュースで、一番敏感に動く可能性があるのは武闘派の伊藤忠・ファミマ連合でしょう。
なにしろ放置すれば、セブンやファミマから大きく後れを取って業界3位に転落する危険性がある一方で、今動けば楽天とソフトバンク、両にらみで業界再編を進められる可能性があるわけです。