つまり、ほとんどの人は「安く買って高く売るべきだ」とわかっているはずなのに、実際は「株価が上がると買いに走り、株価が下がると狼狽して売る」ということを繰り返しているわけです。

「安いときにまとめて買う」のが現実的でない以上、相場の動きを追うのはやめ、機械的に積み立てて「平均購入単価を抑える」のが最も合理的な方法だと思います。もちろん、私自身も「積み立て投資派」です。

平均購入単価を下げるのが
積み立て投資の効果

 角度を変えて、もう少し積み立ての効果について見ていきましょう。

 投資の成績を決めるのは、実は価格だけではありません。カギを握るのは「量」、投信でいえば「口数」なのです。図3をご覧ください。

図3_積み立て投資で、量(口数)を増やすことを考える。同書より図3 積み立て投資で、量(口数)を増やすことを考える。同書より 拡大画像表示

 たとえば、投信の基準価額が1万円のときに100万円を一括投資したとしましょう。

 この場合、買えた口数は100口で、あとは売却時に基準価額が1万円を超えるかどうか、つまり「価格」だけが投資の成績を左右することになります。

 一方、同じ100万円を投資するのでも、定期的に1万円ずつ100回に分けて積み立て投資をした場合はどうでしょうか?

 積み立て投資なら効率的に量(口数)を増やすことができます。1万円のときは1口、8000円のときは1.25口、7000円のときは1.42口、5000円のときは2口……というように100回に分けて積み立てていき、150口買えていたら、1口あたりの平均買いつけ価格は6666円となります。

 つまり、積み立てという買い方で、同じ投資額でも口数をうまく増やせたことで、基準価額が6666円以上なら利益が出る状態になるのです。

積立投資なら、少しの価格の上昇でも
運用結果がプラスになることが多い

 最終的に基準価額が7000円になった場合、一括投資していれば30%の損失が発生しますが、積み立て投資をしていた場合は、5%の利益が出ます。

 この例からわかるように、積み立て投資では値下がりするほど量(口数)を多く買うことになるので、投信の運用状況がいまひとつであっても、少し価格が戻るだけで、運用の結果がプラスになることが多いのです。

 こうして見ると、積み立て投資は「値下がりすると、たくさんの口数が買えてうれしい投資法」ということもできます。

 相場が暴落するような局面がくれば、普通は狼狽して、持っている株式などを売ってしまう投資家が多いものです。

 しかし、積み立て投資をしている人なら、「大きく値下がりしている間に、たくさん買っておける」と考えます。