ビジネスパーソンの悩みの多くは人間関係に由来するものではないだろうか。現在、この問題をはじめ、仕事にまつわる多くの悩みを圧倒的な説得力をもって解決することで人気なのが、プロデューサー・佐久間宣行さん初のビジネス書『佐久間宣行のずるい仕事術』だ。2023ビジネス書グランプリを受賞したこの本は、SNSで「働くすべての人に読んでほしい」「人生の教科書にします」と絶賛コメントが多数寄せられている。ここでは本書から佐久間氏が提唱する仕事術の一部をお届けする。
失敗には2つある
失敗から学べ、とはよく言われる教訓だが、失敗には2つある。
「悪い失敗」と「いい失敗」だ。
仮説はあるか?
「悪い失敗」は、仮説がない挑戦の結果、もたらされたもの。
「いい失敗」は、仮説を踏まえた挑戦の先にあるもの。
ギャンブルではなく、仮説を積み上げ、狙って挑んだ企画であれば、失敗しても意味のある失敗になる。
僕たちが学べるのはこの「いい失敗」だ。
「なんとなく」で勝負してはいけない
そして、いい失敗の「質」を極限まで上げるために考えたいのが、どれだけ「正しい勝負」ができていたか、だ。
「なんとなく」ではなく、状況やデータから結果を予測していたか。
「ただ負けた」になっていないか?
ここまで考え尽くしたのなら失敗しても仕方ないと思えるまで考えたか。
こうした事前の仮説をないがしろにしていると、結果的に負けたとき、質のいい失敗にならない。
そこにはただ「負けた」という結果だけが残る。
正しい勝負をする
僕は、根がギャンブラータイプではないし、「えいや」で目をつむって進むタイプでもない。
だから常に仮説を立てて、自分で「正しい勝負」だと思える企画だけをつくってきた。
それは独立してからも変わらない。
僕の仮説
たとえば「佐久間宣行のNOBROCK TV」をどんなYouTubeチャンネルにするか悩んだときも、次のような仮説を立てて勝負した。
アクセスを稼ぐなら、ランキングやグルメなど情報系一択だ。
でも、いま「おもしろい」に振り切っているチャンネルはほぼない。
これは求められていないのではなく、つくり手の手間の問題。
時間とコストをかけてYouTubeでバラエティ番組をつくったら唯一無二の存在になれる。
クリエイターとしてもプレゼンスや認知度を上げられる。
結果はどうだったか
結果としてはいまのところ、この勝負は間違っていなかったと思っている。
けれど、もしもこれから失敗に傾いていったら、仮説が間違っていたことになる。
そうなれば「YouTubeはもっと気楽なほうが受け入れられる」と学んで、それを糧にしていくだろう。
結果は誰にもわからない
企画が当たるか、当たらないか、それはだれにもわからない。
わかる勝負なんてない。
仮説を立ててバットを振り切る
それでも、自分が胸を張って「正しい」と思える勝負にすること。
そうすれば、自分で責任を持ってバットを振り切ることができるし、失敗しても、仮説のどこが間違っていたのか、正しいと思った計算式のどこがズレていたかを検証できる。
ただのつじつま合わせをしてはいけない
逆に、自分なりの仮説(計算式)がないと失敗の分析もできない。
間違った答えを目の前に計算式を考えるのは、まったく無意味なつじつま合わせにすぎないのだ。
(『佐久間宣行のずるい仕事術』より)
※本書には、この他にも、たくさんの仕事術が収録されています