普段、私たちは特に意識せず利用しているが、改めて考えてみると「お金」は神秘的な魅力を秘めています。いったい、その本質とは何なのでしょうか?『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』著者・山口揚平さんの対談シリーズ第3弾は、『リフレはヤバい』の著者で慶應義塾大学ビジネススクール准教授の小幡績さん。職歴も考え方も異なるふたりが、大いに語り合ってくれました。
本を書くという行為は究極の自己愛である!?
山口揚平(以下、山口) 小幡先生の新刊『リフレはヤバい』を拝読させていただきましたが、アベノミクスに関して僕もまったく同意見です。売れ行きも好調だそうですね。
小幡績(以下、小幡)いやいや、全然ダメだよ。表紙からして、山口さんが書いた本とは大きな違いだ。本屋にこの2冊が並んでいれば、特に若い女性なんて山口さんが書いたほうを選ぶに決まっているよ(笑)。
山口 一方で、安倍政権のブレーンとして従来の日銀の政策を批判しているリフレ派、浜田宏一先生の著書『アメリカは日本経済の復活を知っている』も売れているようですが、そのことについてはどう思われますか?
小幡 実は僕、あの本の書評を書いたんだよね。あの本が売れたのは、要するに“ジャケ買い”だったんだろうって。
山口 ああ、横向きで腕組みして立っていて、恰幅のよさがひときわ印象的な表紙の写真のことですね(笑)。でも、小幡先生の本の表紙もインパクトがありますよ。
小幡 目につくことは確かだけど、白黒で何だか葬式みたいなトーンだよ。
ところで、そもそも本を書くという行為は、山口さんにとってどういう位置づけなのかな?消費?それとも投資なの?
山口 書くという行為自体は、すでに自分の頭の中で整理されていることを綴るだけなので、特に面白みは感じません。僕の考えが世の中に伝わらなければ意味がないので、そのために書いているといった感覚ですね。僕の場合は、より多くの人に読んでもらえることに価値を感じて本を書いているんです。