
ジェネレーション・ギャップを考察する「ノスタル研究所」だが、今回は特別版として、3月1日に急性硬膜下血腫のため亡くなった漫画家・鳥山明先生、そして代表作である『ドラゴンボール』についてお送りする。(エンタメ評論家 徳重龍徳)
体育の授業で「界王拳」
ドラゴンボールは特別でなく、日常だった。
水曜日の午後7時になると、チャンネルをいつも合わせて見る番組。漫画、アニメ、ゲーム、カードダス、メンコに文房具。子ども時代、ドラゴンボールは常に側にあった。
プールの自由時間には誰もが両手を合わせて「かめはめ波」と水を掛け合った。学校で習う前から悟や魔の漢字は書けたし、シャンプーをすれば髪を立ててスーパーサイヤ人のモノマネをした。
舞空術といって高いところから飛び降りたり、もしかしたら瞬間移動ができないかとおでこに指をあて、体育の運動で限界を迎えたとき「界王拳」と唱えた。当たり前のようにそうしていた。