91歳の今が人生の中で一番忙しい
来年はそれ以上になるはず

――本日はご自宅でのインタビューですが、お仕事場は2階なのですね。軽快な足取りに驚きました。

 ところがね、だいぶ良くなったんですが、足の骨にひびが入っていたのです。怪我をする前は一日に何回も上り下りしても平気だったけれど、今はできるだけ用事をまとめて、回数を減らしています。まあ効率よく動くようにしているので、脳トレになっているかもしれませんね。

 全くの不覚でした。酒を飲んだ帰りに暗闇で足を取られましてね。「ああ、もう年なんだなあ」って言ったら、ドクターから「回復力は若い人並みだ」と褒められました。

 ニューヨークで長寿食の話をするというプランがあるので、早く完全に治したいんです。コロナが明けたので、全国のご長寿希望の皆さんと話がしたいし、本も書かねばならないし。91歳の今が私の人生の中でいちばん忙しい。90歳のときも今がいちばん忙しいと言っていたけど、それ以上ですから。

 92歳になったらもっと忙しくなるんでしょうかね。楽しみですよ。「永山久夫が役に立つなら、どうぞ使ってください」と、そんな気持ちでなんでも引き受けてしまうんですよ。自分はまだまだ発展途上だと思っていますから。

「91歳の今が一番忙しい」長寿食研究の第一人者・永山久夫が語る、年を重ねるごとに生きる力がみなぎる秘訣永山久夫さんがダイヤモンド・オンライン読者のために描き下ろした「90歳の花咲爺さん2024年バージョン」 (c)永山久夫

――60歳や65歳で定年退職したら、「もう働きたくない」という人もいます。

 私が考える長寿社会のルールは、「長く生きるためには、長く働く」なんです。今の日本で、長い老後をぶらぶら過ごせるという人は一握り。

 そのためには、退職してからシルバー向けの仕事を探すのではなく、50歳から、次に何をするのかを考えて準備を始める必要があります。自分がやりたいことを見つけて、勉強を始めた方がいいのではないでしょうか。

 ビンボー漫画家だった私が、長寿食研究家として少しは知られるようになったのは60歳を過ぎてから。「60の手習い、70に間に合う」であり、70歳は「70の手習い~」なんですよ。

 

 大事なのは、自分に「価値」をつけることなんです。