納豆、卵、そして最近のマイブームは?
365日朝晩毎日食べる「健脳食」
――それから、漫画家になるために上京されました。もともと漫画家になろうと思っていたのでしょうか。
絵を描くのが得意で、漫画の同人誌に投稿しているうちに、仲間から上京するように勧められて、その気になったわけです。
新宿・大久保のアパートの一室に漫画家仲間と6人で暮らしていたのですが、とにかくビンボーでした。朝、目が覚めるとすでに空腹で。コップ1杯の水で腹を満たしていたんです。ビンボーな暮らしの中で身についたのが、安く手に入る、体にいいものを食べるということ。よく食べていたのは、豚肉・卵・納豆・高野豆腐・青魚などです。
公園の草も食べました。ノビルにセリ、ハハコグサ、ヨモギなど……、田舎育ちだから、食べられる草は子どものころから知っていたんです。草に含まれるポリフェノールを取って「バイタルパワー(生命力)」を発動すれば、ビンボーで暗くなったり落ち込んだりしては負けだと、気持ちも前向きになってきます。
「生命力あふれる体を作るのは食」という信念を持っていたため、栄養や食の由来などにますます興味を持って、昔の人は何を食べていたのかを調べたりして食文化の研究を始めました。当時、新聞から、食にまつわる文章と漫画の連載の依頼を受けたことも大きなきっかけになりました。
――永山さんが長年研究している脳のアンチエイジング食「健脳食」で、おすすめの食材を教えてください。
まずは、納豆です。私は365日朝晩に必ず食べています。よく、ちょこっとかき混ぜて食べている人がいますが、それはもったいない。ねばねばの元になるナットウキナーゼという酵素は、血管内の血栓を溶かして、血流を促進してくれる。
納豆の糸が銀色に輝くくらい、くるくる混ぜ混ぜします。40回以上は混ぜてくださいね。裏技ですが、納豆を混ぜる前に酢を垂らすと、かなり粘り気が出ます。人肌くらいのご飯にひきわり納豆がおすすめです。付け足すならば、指先も使うから、脳の老化予防効果もある。
あと、卵は1日に二つ食べます。卵かけご飯だけでなく、半熟ゆで卵、みそ汁に落とす、目玉焼きやオムレツなど食べ方はさまざまですが、最強は、卵かけ納豆ご飯です。
卵はビタミンC以外の栄養成分がほぼ全部含まれているので、「完全栄養食品」と呼んでいいでしょう。「カラザ(黄身についている白いひものような塊)」は、取り除かないで食べてほしいですね。アミノ酸や免疫力を高める成分など、豊富な栄養が含まれています。
先ほど、ビンボー暮らしのお話をしましたが、ちょっと余裕が出てからは、毎朝生卵1個を飲みながら「今日も頑張るぞ」と自分を励ましてきました。近頃は「100歳よりも先を目指すぞ」と叫んでいます。私の人生を応援してくれる卵パワー、卵を味方にすれば百人力です。
――ほかに健脳食として食べているものはありますか?
最近よく食べているのがモッツァレラチーズです。ほかのチーズに比べてカロリーが控えめで低脂質なのがいい。5㎜くらいの厚さにカットして、ニンニクじょうゆにつけて食べると、これがうまい。料理不要のブレインフードです。