ますます早期化する就活に
対応するための愚直な方法

 最後に、採用の早期化についてお話ししておきましょう。これは従来からの傾向ですが、外資系企業は最も早く採用を始めます。また、技術系の企業も特に採用が早くなる傾向があります。というのは、大学院などで専門的な勉強をしている理系の学生は研究が忙しいため、早めに内定を出さなければ逃げられてしまうからです。

 以上はこれまで一般的だったトレンドですが、最近は大手企業の動きも変わってきています。昔は人気企業、業界トップの企業ほど内定を遅く出すのが一般的でした。しかし今年、学生の二大人気業界である総合商社とディベロッパーは、3月から採用を始めるとHPで公言しています。このように人気企業の動きが変わると、他の企業もそれに合わせて早くから動くことになるため、結局全体としても採用は早期化し、全体的な就活のスケジュールも早期化することになります。

 同時に、以前の記事でお話したとおり、企業の内定の出し方が短期集中型から長期分散型へ移行しています。同じ企業でも3月に内定が出る人もいれば、6月に出る人もいます。体力のある大手企業では、特に採用活動が長期化することになります。
 
 これは就活生からすると、明確にどのようなスケジュールで企業が動いているのかが掴みづらく、活動していて息切れしてしまうかもしれません。ただ、だからこそ、早くから細く長く活動し続けられる人が成功するのです。

 たとえば、最初に一気に気合いを入れすぎてやろうとすると、マラソンなのにスタートダッシュから全速力で走るのと同じで、続けられません。もちろん切羽つまってから追い上げようと思っても、すでに多くの企業が内々定を出している中で、乗り遅れてしまうと、それだけ機会を逃すことになります。

 毎日1社ずつでもいいので、まずは企業研究のために説明会動画を視聴する。そんな風にコツコツ少しずつやっていく。そして、その動きを継続すること。愚直ですが、結局はそれが早期化、長期化する採用活動に対応するための王道なのです。

(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局長 福重敦士、構成/ライター 奥田由意)