日本とウクライナとでは習慣も文化も違う
誤解を招く要因になる“違い”を意識すべき

 では、ウクライナのスタートアップと協業したいと考える日本企業は、どのような点に留意すべきなのだろうか?

「まず、二つの国には誤解を招く要因になる商習慣や文化の違いがあることを意識すべき」と語るのはポーランド・ウクライナ・スタートアップ・ブリッジ(PUSB)のマネジャーを務めるウカシュ・ヴァヴァク氏。PUSBは、ウクライナの新興企業や研究開発プロジェクトと、ポーランドのイノベーション支援エコシステム(VCファンド、機関投資家、大企業、個人投資家)を結び付けることを目的としたCEE(中東欧、Central and Eastern Europe)規模のユニークなプロジェクトだ。

ポーランド・ウクライナ・スタートアップ・ブリッジのウカシュ・ヴァヴァク氏ポーランド・ウクライナ・スタートアップ・ブリッジのウカシュ・ヴァヴァク氏(写真提供:ヴァヴァク氏)

 ポーランド人であるヴァヴァク氏は、ウクライナのスタートアップに精通していると同時に客観的な視点も持ち合わせている。また「個人的な見解」としながら、いくつかの案件で日本企業と関わった経験を次のように言及する。

「日本は非常に規律ある社会であり、日本企業は慎重に検討された決定と詳細な計画を立てることを重要視します。時間はかかりますが一度決定が下されれば安定した関係性を築くことができ、これは大きなメリットといえるでしょう。一方、急激な変化に対して柔軟で迅速な判断を下すことが難しいという面もあります」(ヴァヴァク氏)

 日本は意思決定プロセスに時間がかかりすぎるというのはよく指摘されることだ。日本人にとっては当たり前でも、他国の人にとっては「何か問題があって滞っているのか?」と感じることもあるのだ。