人気漫画「SPY×FAMILY」の作者・遠藤達哉さんと元外事警察官の勝丸円覚さんによる豪華対談。第4回(全8回)は、スパイハンターとして世界のスパイを追いかけた勝丸さんが「尾行」の手法を明かします。さらに逸材が集まる“スパイ式”採用術について、日本は世界に大きな差をつけられていることを教えてくれました。(構成/ライター 東田俊介)
『VIVANT』監修後「“別班”に入りたい」とメッセージが来る
勝丸 私は、スパイとスパイハンター、両方を経験してるんですけども、「SPY×FAMILY」は、ところどころの描写に非常にリアリティがあるなと思っています。ロイドが背後をパッと取られたシーンとか、変装しても歩き方を見れば一発でわかるとか。
遠藤 その能力も、実際にあるんですね!
勝丸 いくら変装されても、右肩がちょっと下がって歩くみたいな「クセ」っていうのは変わらないので、そうした身体的特徴は徹底的に頭に叩き込みます。あとは、耳の形とかも変わらないのでインプットします。靴の減り方にも特徴があったりします。
遠藤 そういったリアルな観察眼は、すごく作品の参考になりますね。僕のは完全にフィクションとして描きましたが。
勝丸 なので、作品を見たときにかなり練り込まれているなあという印象を持ちました。それを想像で書かれていたというのですから驚きです。作品にプロのスパイなどの監修は入っていないとのことですが、逆に諜報機関の関係者から接触はありませんでしたか?
遠藤 いや、ないですないです(笑)。勝丸さんが初めてです。
勝丸 私はドラマ『VIVANT』を監修した後、「“別班”(※自衛隊内で秘密裏に存在するとされる秘密組織)に入りたいんですけどどうすればいいですか?」という連絡が来たこともありました(笑)。