子育て世帯の「生命保険料控除」がおトクに!いくらに拡充?保険を増やすべき?【税理士が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

毎年12月に発表されている「税制大綱」をご存じだろうか。今後の税制の行方を決める税制大綱は、翌年度の税制改正や、今後の税の課題をわかりやすくまとめている。2023年末に発表された税制大綱では、少子化対策について深く議論される結果となった。家族の人生を支え、相続対策にも有効な生命保険については、主に控除の視点から触れられている。そこで、今回の記事では2024(令和6)年税制改正大綱に盛り込まれた子育て支援策の3つのポイント、および生命保険の活用法と注意点について、相続対策の視点も交えながら解説する。(税理士、岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)

子育て世代が知っておきたい
税制大綱の「3つのポイント」

 2023年12月14日、政府与党による「令和6年度税制改正大綱」が公表された。2024年は、現在国民に大きな負荷となっている物価高への配慮が見られる結果となった。企業に対しては賃上げ促進税制が強化されている。今年の春闘では各企業が2023年と同水準、もしくは上回るベースアップで発表しており、賃上げ傾向が続きそうだ。

 さて、ここからは子育て世代向けに、知っておきたい今回の税制大綱の3つのポイントを解説する。

 まず一つ目は、「児童手当の拡充と扶養控除の改正」だ。児童手当と言えば子育て世代を支えてくれる大切なマネーだが、2024年10月からは所得制限の撤廃が行われるだけでなく、支給期間も、現在の「中学校卒業」から「高校生(18歳)」へと拡充される。

 なお、実際の支給開始は2024年12月からの見込みだ。政府が進める「異次元の少子化対策」の一環であり、第3子以降は一律3万円の支給となる。子育て世代としては、教育支援などに充てられるマネーが増えるため、うれしい方針転換といえよう。

 二つ目のポイントは「子育て世代は優遇、住宅ローン控除の見直し」だ。2024年からは、住宅ローン控除について子育て世代が優遇される。本年度入居分から住宅ローン控除は控除額が引き下げられてしまうのだが、子育て世代はこの1年、同額に据え置かれる。19歳未満の扶養家族がいる場合や、住宅ローンを借りる本人(もしくは配偶者)が40歳未満の場合に適用となる。新築住宅の取得を検討する子育て世代は、住宅ローンの行方も税制大綱を通してチェックしておこう。

 なお、3月19日に日銀がついに、長年の「マイナス金利政策」の解除を決定した。すでに変動型住宅ローン金利を抱えている子育て世代は不安かもしれないが、基準金利を急激に変動させないような発言も見られた。今後も注視していきたい。

生命保険料の控除が
今後の税制議論の対象に

 そして三つ目が今回のテーマ、「生命保険の控除」だ。まず、結論から言うと生命保険料の控除が拡充の見込みとなった。金融庁が税制への要望として、生命保険料控除の拡充についてまとめている。

 生命保険はご存じの通り、病気に備えて加入する保険である。金融庁は生命保険への加入を促すことで医療の税負担を減らしたい、という考えを示しているのだ。